「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、日産 GT-R(2012年モデル)だ。

足まわりの改良により、乗り心地も改善された

これはレーシングカーの世界ではコーナーウエイトといってごく当たり前に行われていること。それを一般車の世界に持ち込んだことがいかにも水野主査らしい発想で、つまりそれだけ走りに徹したサスペンションセッティングを施そうという熱意の現れだろう。

画像: エンジンはインテーク吸気効率の向上のほか、エキゾースト排気効率の向上と制御の改良により、燃費を向上させながら20psアップを実現。

エンジンはインテーク吸気効率の向上のほか、エキゾースト排気効率の向上と制御の改良により、燃費を向上させながら20psアップを実現。

そのセッティング、具体的にはフロントスプリングのレートを左を硬く右を柔らかくし、ショックアブソーバもそれに合わせてセッティングしている。もちろんクルマの荷重バランスは前輪だけとればよいというわけではなく、前左右が変更されれば対角線上でも調整が必要となる。そのため後輪は右後輪の車高を上げ、左前輪への荷重バランスを取っている。こうすることによって、走行状態で4輪の輪荷重がバランスするようになるのだという。

さらにその他にもボディ面ではフロントのダッシュまわり、エアボックスまわり、フロアの先端まわりの剛性とダンピング補強を行っている。ハンドリングにはまったく違和感などなく、超高速域でも高い直進性を維持しながら優れた旋回性能も両立している。

試乗では、サーキット敷地内の周回路も走ってみた。これは一般道に近い設定なのだが、2009年モデルから2011年モデルに乗ると乗り心地の進化に驚かされる。ボディに締まりがありバタツキが少ないのだ。2009年モデルで感じたステアリング切り始めのアンダーステアな傾向が、払拭されていることにも驚く。そして2012年モデルではフロントサスの接地感が高く、深い操舵角にも追従性が高い。やはりエンジンの低回転域からのツキが良いので、4WDにかかるトルク変動が早く発生し、ハンドリングもよりニュートラルなステア特性に感じられた。

サーキットにおいても一般道においても、より走りの性能を進化させたGT-R。やはり、「最新のGT-Rは最良のGT-R」という言葉に納得させられる試乗会だった。

画像: プレミアムエディション。内外装には大きな変更はないが、ダンロップ製のランフラットタイヤは改良されたようだ。

プレミアムエディション。内外装には大きな変更はないが、ダンロップ製のランフラットタイヤは改良されたようだ。

■日産 GT-R ピュアエディション(2012年モデル) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4670×1895×1370mm
●ホイールベース:2780mm
●車両重量:1730kg
●エンジン:V6 DOHCツインターボ
●総排気量:3799cc
●最高出力:404kW(550ps)/6400rpm
●最大トルク:632Nm(64.5kgm)/3200-5800rpm
●トランスミッション:6速DCT
●駆動方式:フロント縦置きトランスアクスル4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・74L
●10・15モード燃費:8.6km/L
●タイヤサイズ:前255/40ZRF20、後285/35ZRF20
●当時の車両価格(税込):869万4000円

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