オープンカーの種類
自動車は馬車が発展して生まれた乗り物であるため、馬車の時代に用いられていたボディ形状・使用用途を区別する用語が自動車の分類にそのまま引き継がれていることが多いのです。また、「気分によって屋根を開けることができるタイプ」か「雨が降ってきたときに屋根を閉めることもできるタイプ」かという違いで区別されます。
■フェートン=オープン状態が基本
もともとは、馬車のボディ形状を指していた言葉で、「自分で操縦する・スピード重視・4人乗り」タイプの馬車のことでした。自動車の時代になっても、4人乗りが可能で走行性能を重視したサイドの窓ガラスがない幌付きの自動車のことを指していましたが、サイドにガラス窓を備えた快適な「セダン」や、その「セダン」の屋根を開けることでオープンエアを楽しむことができる「コンバーチブル」など、天候を気にせずに乗れる自動車が登場したことで消滅しました。
(例:日本内燃機 九五式小型乗用車)
■スパイダー=オープン状態が基本
馬車のボディ形状に由来。フェートンと同じく、「自分で操縦する・スピード重視」の馬車用ですが、よりスポーティになっており乗車人数も1~2名までと、フェートンよりも走行性能を重視したタイプの馬車に用いられていた単語です。こちらはガラス窓付きでも呼ばれることがあり、現代でもイタリア車のオープンカーに多く用いられています。
(例:アバルト 124スパイダー)
■ロードスター=オープン状態が基本
よく勘違いされがちですが、英語でのスペルは「Road-star」=道の星ではなく、「Road-ster」です。「ster」は「~な人、~する人」を意味するので、「道ゆく者」という意味になります。この「道ゆく者」が馬や馬車に乗って移動する様子から、軽装の馬または簡易的な「雨よけの幌」を備えた1頭立ての軽装馬車のことを総称して「Roadster」と呼んでいたのです。自動車の時代になってからは、「スパイダー」とほぼ同じスポーツタイプの2人乗りオープンカーを指します。
(例:マツダ ロードスター)
■スピードスター=オープン状態が基本
名前の由来は「スピード(Speed)」+「~な人、~する人(ster)」、つまり「スピード狂」で、2人乗りオープンカーで速度を出すことを重視した車を指します。装備を簡略化したり、軽量化を徹底することでスパイダーやロードスターよりもレース車両に近いガチなモデルに使われることが多いです。
(例:ポルシェ 356 スピードスター)
■バルケッタ=オープン状態が基本
イタリア語で「小舟」の意味。その名のとおり、小型軽量で屋根がないということを強調したい車種に使用されます。オープンに特化したモデルで、基本的にはストイックなオープンスポーツカーです。
(例:ダラーラ ストラダーレ)
■カブリオレ(カブリオ)=クローズド状態が基本
馬車に由来するフランス語で、ドイツ車だと「カブリオ」と省略する場合があります。馬1頭立てで2人乗りの幌付きスポーツタイプ馬車のこと。馬車の時代からクローズ状態(屋根を閉じた状態)が基本です。しかし、自動車の場合は、コンバーチブルと同様に幌を閉じると「セダン」になるタイプを呼称することがほとんどです。
(例:BMW 4シリーズ カブリオレ)
■コンバーチブル=クローズド状態が基本
ドアや窓ガラスにより完全に外界から密閉できる「セダン」や「クーペ」タイプの自動車が誕生したことで生まれた新しいジャンルです。こうした外界から完全に密閉できるタイプのクルマのうち、屋根を開くことでオープンカーになることができる(クローズド状態とオープン状態を変換できる=Convertibleという意味です)モデルのことを指します。そのため、カブリオレと同じく、幌を閉じた状態では「セダン」に近い快適性があるモデルです。
(MINI コンバーチブル)
分類名 | この名称がよく使われる国 | デフォルトの状態 | 代表的な車種 |
---|---|---|---|
フェートン | 現在は消滅 | オープン | 日本内燃機 九五式小型乗用車 |
スパイダー | イタリア | オープン | アバルト 124 スパイダー |
ロードスター | イギリス | オープン | マツダ ロードスター |
スピードスター | どこでも | オープン | ポルシェ 356 スピードスター |
バルケッタ | イタリア | オープン | ダラーラ ストラダーレ |
カブリオレ | ドイツ・フランス | クローズ(ド) | BMW 4シリーズ カブリオレ |
コンバーチブル | イギリス・アメリカ | クローズ(ド) | MINI MINI コンバーチブル |