モータージャーナリストの木村好宏氏が特派員を務めるアウト モーター ウント シュポルトの姉妹紙「シュポルト アウト」では定期的に読者を対象にニュルブルクリンク北コースでスポーツドライブトレーニングを行っている。今回このトレーニングプログラムに、ポルシェ協力のもとカイエンターボGTを持ち込むことができた。(Motor Magazine 2022年11月号より)

SUV だがサーキット走行を主目的としモデル

さて、いよいよ北コースに到着、慣熟走行がスタートする。ここで正直に告白すれば、オフィスからここまでおよそ175kmのアウトバーンを含む一般道路で感じたカイエンターボGTのドライブフィールは、決して「快適」とは言えなかった。

市街地の石畳は仕方がないが、ちょっとした不整路面から容赦ないショックがフロント285/35
R22、リア315/30R22のピレリ Pゼロコルサから直接伝わってくる。ただしアウトバーンに入り速度を上げてゆくに従って乗り心地はフラットになったが、これはポルシェの意図したことなのだ。

すなわち「GT」と名付ける以上、開発企画書では「快適性」は二の次で、まずは「ドライビングダイナミック」の追求が重要であった。とくに最初からサーキット走行を主目的としたシャシは17mmのローダウン、そして15%のハードセッティングに、さらに前述のスポーツタイヤに合わせたチューニングに多くの時間が費やされている。

また、911系と違って重心が高いカイエンの荷重変動は大きく、そのためPASM(ポルシェ アクティブ サスペンション マネージメント)の適正化も行われている。

画像: この2日間のスポーツドライブトレーングで、ニュルブルクリンク北コースを31周ドライブをすることができた。

この2日間のスポーツドライブトレーングで、ニュルブルクリンク北コースを31周ドライブをすることができた。

結局この2日間のスポーツドライブトレーニングで私はニュルブルクリンク北コースを31周した。その間に前を行くインストラクターは私を注視しながらウォーキートーキーでターンイン、ブレーキング、そして加速のタイミングを非常に細かく指示してくれた。

有意義だったのはこれらのアドバイスによって前後アクスルへの荷重変動を注意深く読みながらのドライビングを習得できたことだった。

そしてもちろんこれはポルシェが意図したことでもあるのだが、カイエンターボGTがSUVの格好はしているがポルシェファミリーの中で確かに「GT」としての資格をもったモデルであることも納得した。

私のラップタイムは、ポルシェがカイエンターボGTで記録した7分38秒925に遠く及ばないが、それ以上に心行くまでスポーツドライブを楽しめたことが一番の収穫であった。

帰路に着く前に、もちろんタイヤ交換を行い、175km離れたオフィスに戻って、明日にはこのクルマが引き取られて行く寂しさをヒシヒシと感じ始めていた。けれども渡されたプレスキットの最後に「ベース価格:20万5003ユーロ(約2870万円・19%付加価値税込み/日本市場での価格2851万円)」という数字を見つけて現実の世界に引き戻されたのである。

それにしても楽しい2日間であった。(文:アレキサンダー・オーステルン/写真:キムラ・オフィス)

ポルシェ カイエン ターボGT 主要諸元

●全長×全幅×全高:4940×1995×1635mm
●ホイールベース:2895mm
●車両重量:2295kg
●エンジン:V8 DOHCツインターボ
●総排気量:3996cc
●最高出力:471kW(640ps)/6000rpm
●最大トルク:850Nm/2300-4500rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム ・90L
●WLTPモード燃費:7.1km/L
●タイヤサイズ:前285/35R22、後315/30R22
●車両価格(税込):2851万円

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