素直にドライバビリティの進化を誇りたくなる、完成度の高さ
実際にモードを切り替えながら変化を試してみると、ECOではさすがに平和すぎてワインディングはあまり楽しめない。対照的にNORMALなら、日常的なドライブでは余りあるほど走りは活発だ。したがってSPORT以上は言わずもがな、である。
もともと新型クラウンのDirect Shift-6ATは、トルコンの代わりにWet Start Clutchを採用し、ギアの各段のカバー率をおよそ15%改善している。モーターのアシストによって、トルク変動を抑え「キープ」気味に走らせるセッティングだ。おかげでダウンシフトの頻度は減り、変速時の回転ロスを回避できる=ダイレクト感へとつながっていく。
ちょっと興味深いのは「SPORT」と「SPORT+」の違いだ。絶対的な速さは正直、公道でその差を体感することは難しい。だが安定方向の制御が明確に入って来る「+」は、いいペースでワインディングを流している時にも、より挙動が安定しているように感じられた。逆にドライビングに自信がある人なら、余計な制御が入らない「SPORT」の方がお好みかもしれない。
短時間、限られたシチュエーションでのテストドライブではあったが、新型クラウンは今、もっとも注目度が高いクロスオーバースタイルの最新モデルとして、さまざまな面で秀でていることを実感した。
現代のプレステージに求められている「理想形」を備えたモデルとして、従来のクラウンユーザーからもきっと、受け入れてもらえることだろう。(写真 井上雅行/神原 久)
■トヨタ クラウン クロスオーバーG アドバンスド・レザーパッケージ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4930×1840×1540mm
●ホイールベース:2850mm
●車両重量:1790kg
●エンジン:直4 DOHC+モーター×2
●総排気量:2487cc
●最高出力:137kW(186ps)/6000rpm
●最大トルク:221Nm(22.5kgm)/3600−5200rpm
●モーター最高出力:88kW(119.6ps)+40kW(54.4ps)
●モーター最大トルク:202Nm(20.6kgm)+121Nm(12.3kgm)
●トランスミッション:電気式無段変速機
●駆動方式:フロント横置き4WD
●燃料・タンク容量:レギュラー・55L
●WLTCモード燃費:22.4km/L
●タイヤサイズ:225/45R21
●車両価格(税込):570万円
■トヨタ クラウン クロスオーバー RS アドバンスド 主要諸元
●全長×全幅×全高:4930×1840×1540mm
●ホイールベース:2850mm
●車両重量:1920kg
●エンジン:直4 DOHCターボ+モーター×2
●総排気量:2393cc
●最高出力:200kW(272ps)/6000rpm
●最大トルク:460Nm(46.9kgm)/2000−3000rpm
●モーター最高出力:61kW(82.9ps)+59kW(80.2ps)
●モーター最大トルク:292Nm(29.8kgm)+169Nm(17.2kgm)
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:フロント横置き4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・55L
●WLTCモード燃費:15.7km/L
●タイヤサイズ:225/45R21
●車両価格(税込):640万円