ファイナルラップまで持ち越されたチャンピオンの行方
雲ひとつない秋晴れの中行われた最終戦は、ランキング上位6台で繰り広げられた。そんな中予選でまさかのクラッシュを喫したランキング2位の61号車SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)が予選16番手に終わり、チャンピオン本命のアクシデントに場内は騒然となった。
ポールポジションを獲得した55号車はトップで1コーナーを抜けるも、2位につける18号車UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/太田格之進)が3コーナーで55号車をオーバーテイクしトップに浮上する。前日の予選でクラッシュしてしまった61号車は修理を間に合わせ、決勝は16番手からスタートしたが、ターボに問題があり、次々に抜かれてしまう厳しい展開となってしまった。
大きな接触はなかったスタート直後だが、9周目の3コーナーでGT500車両を含む多重クラッシュが発生。このアクシデントによりFCY(フルコースイエロー)が導入される。しかし翌周にはSC(セーフティカー)に切り替わり、ホームストレートで隊列整理が行われた。
リスタートも迫っていたSCラン中に2度目のアクシデントが発生。5号車マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号(冨林勇佑/平木玲次)に31号車apr GR SPORT PRIUS GT(嵯峨宏紀/中山友貴)が追突。スピード差もあり大きなクラッシュとなった。幸いドライバーに怪我はなかったが、車両撤去のため、SCが継続されることになった。
レースは20周目に再開。25周目にトップの18号車がピットインするも、スタートに手間取ってしまい優勝戦線から離脱、55号車が実質的なトップに返り咲く。
ピットインのタイミングということもあり順位の入れ替えが激しい中、レースは後半戦へ。全車ピットストップを終え、55号車、52号車埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)、10号車TANAX GAINER GT-R(富田竜一郎/大草りき)、56号車のトップ4となった。このままの順位のままレースを終えると56号車のタイトル獲得という状況であったが、42周目に56号車がまさかのスローダウン。右のフロントタイヤが外れてしまうがなんとかピットに戻りタイヤを装着しコースに復帰。しかし19位まで下がってしまい3位を走る10号車にチャンピオンの可能性が出てきた。
しかし87号車Bamboo Airways ランボルギーニ GT3(松浦孝亮/坂口夏月)が10号車を猛追。52周目に10号車をパスし3位に浮上、さらに10号車の背後には18号車も接近。2周に渡るサイドバイサイドのバトルを繰り広げるも10号車の富田は18号車太田の猛攻を防ぎ切ることができず54周目に4位に後退。10号車をパスした87号車は勢いそのままに2位の52号車もオーバーテイク、これで52号車のタイトルのチャンスがほぼなくなってしまった。
さらに10号車に88号車Weibo Primez ランボルギーニ GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)が急接近。10号車が88号車に抜かれれば、ノーポイントであっても56号車にチャンピオンの称号が与えられるため、10号車富田が必死に小暮を抑えていく。しかしファイナルラップでついに88号車小暮が10号車富田をオーバーテイク。
55号車は見事ポールトゥウィンを達成、そして10号車が8位でフィニッシュした瞬間、56号車のチャンピオンが決まるという劇的な展開で最終戦は終了した。