「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、ホンダ N-BOX(初代)だ。

ホンダ N-BOX(2011年:ニューモデル)

画像: カスタムG・Lパッケージ。タイヤサイズは155/65R14で、アルミホイールも標準装備する。

カスタムG・Lパッケージ。タイヤサイズは155/65R14で、アルミホイールも標準装備する。

大容量のスーパーハイトワゴンが主体の最近の軽マーケットに、ホンダ得意のセンタータンクレイアウト&低床フロアを生かした軽がなぜ出てこないのか、ずっと不思議に思っていた。ライバルに遅れを取ること4年。「もう一度軽に力を入れないとマズイ」と、ようやく思い直してくれたホンダが、原点であるN360の「N」を与えて、本気でやってきた。室内は、とにかく広い! ミニバンに通じる広さと低さのパッケージングはお世辞抜きでお見事だ。

前後座席間の距離は、もはや会話が困難なのでは?と思えるほどで、「ミニミニバンを作るつもりがステップワゴンを超えてしまった」とは、開発責任者の浅木氏の弁。これはアクセルペダルをタイヤハウスギリギリまで70mmほど前方に移動させたことと、センタータンクレイアウトで自由度を高く設置できる後席の恩恵が大きい。また、広さを最大限に生かしたユーティリティを実現するため、後席にあえてスライド機構がないのも特徴だ。

ちなみに後席に関しては、タント=座面一体式スライド、パレット=5:5分割式スライドと、ライバルたちはアレンジ方法に長らくこだわり続けているが、ホンダはスライドせずとも灯油用ポリタンクが4個積める荷室と、十分な足元の広さを持っているということで、軽初の座面跳ね上げチップアップ機構付き後席も採用。跳ね上げれば、ベビーカーをたたまずに載せられるのは素晴らしい。またワンアクションで後席をたためば、地上から480mmという低い開口部と、1560mmという長い荷室長で、後ろから身体ごと乗りこんでママチャリを積むこともできる。

さて、これほど大きな箱となると気になるのは走り味。パワー面では新エンジンとCVTは全車共通。走り味では13インチタイヤのオリジナル、14インチのカスタムL、15インチのターボの3つに分けられる。このうち文句なしにいいのはターボ。エンジンはもちろん、ハンドリングもいちばん余裕がある。ステアフィールも自然で、これをメインに開発したと思わせるほどまとまっている。

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