変化する自動車市場のトレンド。それこそがビジネスチャンスでもある
去る2022年11月30日、東京で開催された「BCS全国会議2022」が開催された。そこでは、グローバルでの事業の現状、将来についてさまざまな報告、プレゼンが実施された。
そのひとつが「トレーニングおよびBCS特別提案」というプログラムだ。プレゼンを担当したのは、オートモーティブ・アフターマーケット事業部 テクニカルサービス&サポート部(AA/TSS)の里 廉太郎氏である。
トレーニング、技術コンサルタントに加えADASやCDR(クラッシュデータリトリーバル)といった先端技術関連資格の認定事業を手掛けるTSSは、ボッシュとBCS各加盟店をつなぐ重要なハブのひとつだ。
その活動を統括する里氏は完全電動化、スマート&コネクテッド、自動運転、カーシェアといった市場トレンドの変化を好機と受けとめ、包括的なサービス提供体制を強化していくことを明らかにした。
プレゼンされた改革の方策は多々ある。中でも興味深かったのは、CASEの時代に対応したCDR(クラッシュデータリトリーバル)ビジネスを進化させるための取り組みだろう。
中心となるのは、イベントデータレコーダー(EDR)に残された事故記録を、CDRツールによって読み出し、事故状況の解析を担う「CDRアナリスト」のスキルアッププログラムの充実だ。加えて、ビジネスとしての体制強化に向けた新システムの導入が発表された。
EDRの機能強化や対応車種の拡大に合わせて、新たな知識が必要に
CDRアナリストはボッシュによって認定される資格だが、それを取得し維持するためには、ボッシュが主催する「CDRアナリスト トレーニング」を受講する必要がある。
その目的は、必要な知識やノウハウを学ぶだけではない。自動車関連技術の進化に合わせてCDRの機能が向上していくことから、それを読み解く側にも「最新のテクニック」が必要とされるためだ。
入口となるのが、EDRの読み出しとCDRレポート解析の基礎、テクニックを5日間で学ぶ「CDRアナリスト トレーニング」だ。講習後は試験があり、それに合格することで初めて有資格者となる。その有効期限は2年だが、失効そのものにはさらに2年の猶予が与えられている。
取得から2年~4年の間に、EDRの進化に対応した「CDRアナリスト 更新トレーニング」を受講することで、認定資格の有効期限は2年間延長される。これまでこの更新トレーニングには、2段階の「モジュール」がそれぞれ3日間ずつ、設定されてきた。新しいブランドへの対応拡大とともに、トヨタのようにEDRそのものの機能が向上されるケースについても学ぶことができる。
■CDR アナリスト 更新トレーニング モジュール1の主なメニュー
Toyota 17EDR、GMActive Safety System EDR、 VW / Audi 、Subaru, Mitsubishi、CDR900ハードウェア使用方法
■CDR アナリスト 更新トレーニング モジュール2の主なメニュー
Toyota 19EDR, GM Front Camera Module EDR,VW / Audi EDRと故障診断機に よる読出しデータ、Nissan, BMWのEDR仕様