フォルクスワーゲンのBEV(バッテリー電気自動車)「ID.」シリーズ日本導入最初のモデル「ID.4」に短時間の市街地走行だが試乗する機会を得た。そこであらためて感じられたのは、BEVでも共通する「フォルクスワーゲン」らしさだった。

きわめて高い静粛性。乗り味は、やっぱりフォルクスワーゲン

画像: コンパクトなメーターディスプレイの右に備わるシフトセレクター、アクセル/ブレーキペダルのマークなど、ユニークだがシンプルで扱いやすい。

コンパクトなメーターディスプレイの右に備わるシフトセレクター、アクセル/ブレーキペダルのマークなど、ユニークだがシンプルで扱いやすい。

パワーユニットは、今回試乗した「プロ」もエントリーグレードの「ライト」も共通で、204psと310Nmを発生するモーターで後輪を駆動するRWDだ。両車はバッテリー容量と装備などで差別化されている。なお、今回は市街地での30分ほどの試乗だったので、ADAS(運転支援システム)や高速安定性、それにコーナリングなどに関しては語れないことをおことわりしておく。

ドライブモードはセンターダッシュのスイッチで、エコ/コンフォート/パワー/インディビデュアル(自分で設定可能)に切り替えられ、デフォルトはコンフォート。アクセルペダルをエンジン車と同じ感覚で踏み込んでも、EVによくあるような初期ゲインは強くなく、普通にスッと静かに発進する。これはパワーモードでも同じ。もちろん、ベタ踏みすればエコモードでもEVらしい?ダッシュを見せるが、街中を流して走る限りはコンフォートでも十分以上に速い。

ドライブモードを切り替えるとパワーの出方やステアリングのアシスト力が変わるが、足まわりの設定は変わらない。とはいえ、全般的に乗り心地は良く、EV専用アーキテクチャーによるガッチリした剛性の高さも感じさせる。全長4.6m足らず、全幅も1.85mというサイズは、少し交通量の増え出した師走の都会を走りまわるにも持て余すことはなく、アクセルペダルを踏んだだけスッと出て、ハンドルを切ればスイッと車線変更もでき、しかも静か。そう、この静粛性はエンジン車だったら2クラス以上も上のレベルにある。

短時間だが、乗っているうちに「これ、ゴルフじゃないよね?」と感じた。つまり、ID.4の乗り味は言葉にはしにくいのだが、ゴルフやポロに代表されるような、フォルクスワーゲンらしい扱いやすさや親しみやすさを感じさせるものだった。もっとも、これはメルセデスアウディのEVに乗っても感じられたこと。ドイツのメーカーは、エンジン車からEVに乗り換える既存のオーナーのためにも、そのアイデンティティである乗り味を踏襲しているように思えてならない。

将来的には、フォルクスワーゲンはゴルフもEVにしてしまうのかなと思うと、ちょっと寂しい気もするが、まあこれも時代の流れなのだろう。

販売好調につき2023年モデルの販売を前倒し

なお、フォルクスワーゲン ジャパンでは、ID.4 ローンチエディションの販売が好調なため、2023年モデルの販売を前倒しして、2022年12月22日から先行受注受け付けを開始した。車両価格(税込)は、エントリーグレードのID.4 ライトが514万2000円、上級グレードのID.4 プロが648万8000円。ローンチエディションより少し高いが、制御にかかわるハードウエアとソフトウエアの改良で、航続距離を延伸(ライト:388km→435km、プロ:561km→618km)している。

前述のようにライトとプロのパワートレーンは基本的に同じで、バッテリー容量の違いから航続距離に差があるが、市街地走行が中心ならライトでも十分だろう。いずれにしても、フォルクスワーゲンの本格参入で、日本のEV市場は国産/輸入車を問わず、さまざまなクラスで活性化していくことは間違いなさそうだ。(写真:井上雅行 ※写真は試乗時とは別に撮影したものです)

画像: RWDのSUVという、EVならではのユニークな駆動方式。とはいえ、都会の積雪レベルならスタッドレスタイヤを装着すれば問題ないはず。

RWDのSUVという、EVならではのユニークな駆動方式。とはいえ、都会の積雪レベルならスタッドレスタイヤを装着すれば問題ないはず。

フォルクスワーゲン ID.4 プロ ローンチエディション 主要諸元

全長×全幅×全高:4585×1850×1640mm
ホイールベース:2770mm
車両重量:2140kg
パワートレーン:交流同期電動機×1
最高出力:150kW(204ps)
最大トルク:310Nm(31.6kgm)
最小回転半径:5.4m
駆動方式:RWD
WLTCモード一充電走行距離:561km
総電力量:77kWh<52kWh>
タイヤサイズ:前235/50R20、後255/45R20
車両価格:636万5000円

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