世界的に見ても、大排気量エンジンの存在がシュリンクしていることは確かだ。一方で「レクサス」は、なぜか5L V8搭載車を頑なに守り続けている。日本を代表する高級車ブランドが5L V8エンジンにこだわり続ける理由は、いったいなにか。3台のレクサスとともに答えを探す、ショートトリップに出た。(Motor Magazine 2023年2月号より)

大排気量マルチシリンダーでしか味わえない官能

高速道路への進入や追い越し時で力強い加速を求める場面でも、路面との上質なコンタクト感はそのままに、車体の挙動は非常に安定している。車格に対しては明らかに大きいエンジンを搭載することで、前57:後43とかなり前寄りの重量配分になっていることもあって、5Lの駆動力をもってしても操舵側の荷重がしっかり掛かってくれるわけだ。

画像: IS500 “Fスポーツ パフォーマンス ファーストエディション”。初代IS Fを彷彿させる4本出しのエキゾーストパイプが迫力満点。全長は標準車よりも50mm長い。

IS500 “Fスポーツ パフォーマンス ファーストエディション”。初代IS Fを彷彿させる4本出しのエキゾーストパイプが迫力満点。全長は標準車よりも50mm長い。

そして巡航域でも8速ATはトップギアをしっかり使いながら、穏やかな加速であればギアを落とさずに応答するなど、大排気量ならではの余裕はしっかり享受できる。その域ならば燃費も10km/Lに届くだろう。

その前重な重量配分がワインディングロードではアンダーステアの原因にならないと言えばそれは嘘になる。また、レクサスモデルの癖として、オウトツ超えでの上屋の伸びの動きが大きい傾向はIS500も同じだ。ただし柔軟な足まわりのセッティングもあって路面追従性は高く、挙動の大きさのわりにはハンドリングに不安感はない。この味付けもサーキットより公道適性の高さを意識した一端だろう。

2500rpmを超えたあたりから吸気弁が開き脈動が変わるとともに音粒を揃え、7000rpmオーバーのトップエンドへとパワーの盛り上がりをしっかり伝えながら荘厳に吹け上がる。3つのモデルの個性を決定的なものにしているのは、やはり2UR-GSEの自然吸気マルチシリンダーでしかもたらされない官能的なフィーリングだ。

今や世界のどこにもない、レクサスでしか味わえないその甘美さを改めて体験すると、クルマにおいてエンジンは最大の選択理由足り得るものだと改めて実感する。(文:渡辺敏史/写真:永元秀和)

レクサス RC F “パフォーマンスパッケージ” 主要諸元

●全長×全幅×全高:4710×1845×1390mm
●ホイールベース:2730mm
●車両重量:1720kg
●エンジン:V8 DOHC
●総排気量:4968cc
●最高出力:354kW(481ps)/7100rpm
●最大トルク:535Nm/4800rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・66L
●WLTCモード燃費:8.5km/L
●タイヤサイズ:前255/35R19、後275/35R19
●車両価格(税込):1455万円

レクサス LC500 主要諸元

●全長×全幅×全高:4770×1920×1345mm
●ホイールベース:2870mm
●車両重量:1940kg
●エンジン:V8 DOHC
●総排気量:4968cc
●最高出力:351kW(477ps)/7100rpm
●最大トルク:540Nm/4800rpm
●トランスミッション:10速AT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・82L
●WLTCモード燃費:8.4km/L
●タイヤサイズ:前245/45RF20、後275/40RF20
●車両価格(税込):1327万円

レクサス IS500 “Fスポーツ パフォーマンス ファーストエディション” 主要諸元

●全長×全幅×全高:4760×1840×1435mm
●ホイールベース:2800mm
●車両重量:1720kg
●エンジン:V8 DOHC
●総排気量:4968cc
●最高出力:354kW(481ps)/7100rpm
●最大トルク:535Nm/4800rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・66L
●WLTCモード燃費:9.0km/L
●タイヤサイズ:前235/40R19、後265/35R19
●車両価格(税込):900万円

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