世界的に見ても、大排気量エンジンの存在がシュリンクしていることは確かだ。一方で「レクサス」は、なぜか5L V8搭載車を頑なに守り続けている。日本を代表する高級車ブランドが5L V8エンジンにこだわり続ける理由は、いったいなにか。3台のレクサスとともに答えを探す、ショートトリップに出た。(Motor Magazine 2023年2月号より)

日常からサーキットまで、理想のバランスを具現化したRC Fの走り

このエンジンを搭載したモデルとして、もっとも長い歴史を持つのがRC Fだ。取材車は、その中でもスポーティネスをさらに際立てた"パフォーマンスパッケージ"となる。

画像: RC F “パフォーマンスパッケージ”。大型のリアスポイラーやブリスタフェンダーなど、一見しただけで特別な“F”モデルであることがわかる。

RC F “パフォーマンスパッケージ”。大型のリアスポイラーやブリスタフェンダーなど、一見しただけで特別な“F”モデルであることがわかる。

そのメニューは肉抜きで軽量化した専用の鍛造アルミホイールやカーボンセラミックブレーキシステムによるバネ下重量の軽減、リアバルクヘッドのカーボンパネルによる補強、フロントスポイラーやウイング、ディフューザーやロッカーフィンなどカーボン製エアロエフェクトによる空力特性の改善、チタンエキゾーストによる軽量化など多岐に及ぶ。

RC Fパフォーマンスパッケージの車両重量は標準グレードより50kg軽く、IS500と同じ1720kg。しかし3台の中で、軽快感においてはこのモデルが一頭地抜けている。それは操作に対する確度の高さや、動きの無駄のなさから感じられるものだろう。

RC Fパフォーマンスパッケージは、歴代のレクサスのモデルの中でももっともスパルタンな部類に入るモデルだ。後軸はFの特徴ともいえる左右輪作動を増速制御するTVDではなくプレーンなトルセンLSDをあえて採用、アクティブサウンドコントロールなどの演出要素も備わらない。

ちょうどいいパワフルさのおかげで、乗りこなす楽しみが備わる

一方で、サーキット走行を念頭に置いたサスチューニングでありながら最低地上高はベースグレードと同等と、大きな羽を背負った派手な成り立ちながらも日常性にはきちんと配慮されてもいる。

画像: RC F “パフォーマンスパッケージ”。インテリアの各所に“F”モデルのイメージカラーのブルーを用いた。ハンドルやメーターフードにはベロア素材を採用している。

RC F “パフォーマンスパッケージ”。インテリアの各所に“F”モデルのイメージカラーのブルーを用いた。ハンドルやメーターフードにはベロア素材を採用している。

RC Fパフォーマンスパッケージをクローズドコースで思い切り走らせる愉しさは言わずもがなだ。ハンドリングは危うさなくFRの気持ちいいアクションをきっちり引き出せるし、車体の動きは軽すぎず重すぎず、適度な質感と共にすっきりと向きを変えてくれる。サクサクとした加減速の歯切れの良さもこのグレードならではの味わいのひとつだろう。

嬉しいのはこのドライビングプレジャーを、休日のワインディングロードのようなシチュエーションでも気持ちよく引き出せることだ。

バネ下の軽さも奏功しているのだろう、サスペンションは低中入力域から動きがよく、オウトツを超えての収束にも素早い中に丸さがある。世の中には手を付けられないほど速すぎるスポーツモデルも多々ある中、2UR-GSEは絶妙なパワフルさで、回しての心地良さも味わえる範疇だ。

特別の用途を求めるひと握りのユーザー向けグレードに見えて、その中身はRC Fの大吟醸的な一面も持ち合わせている。

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