世界的に見ても、大排気量エンジンの存在がシュリンクしていることは確かだ。一方で「レクサス」は、なぜか5L V8搭載車を頑なに守り続けている。日本を代表する高級車ブランドが5L V8エンジンにこだわり続ける理由は、いったいなにか。3台のレクサスとともに答えを探す、ショートトリップに出た。(Motor Magazine 2023年2月号より)

登場から5年以上を経た今改めてLC500を味わうと

レクサスの2ドアモデルのフラッグシップとなるLCにおいて、2UR-GSEは今や稀有な個性で存在意義を決定づけるユニットでもある。中身は年次改良が施されているものの、デザインについては変化はない。が、形状面での鮮度に衰えを感じないのは希少性に加えて基本造型の芯がしっかりしているがゆえだろう。

画像: LC500。色遣い、造形ともに凝ったLCの内装。助手席側にはハンドグリップを設けるなど、スポーツカーらしさも持っている。

LC500。色遣い、造形ともに凝ったLCの内装。助手席側にはハンドグリップを設けるなど、スポーツカーらしさも持っている。

LC500のエンジンはRC FやIS500に比べると、わずかながら最高出力が低く最大トルクが大きい。些細ながらも日常域での扱いやすさも意識したことが伝わってくる。そして10速ATとなっているのも特徴だ。

そのワイドなギアレシオをもってしても1950kg前後の車重をカバーするのは、回して稼ぐ自然吸気ユニットではさすがに荷が重いだろう。10速ATの変速マネジメントは日本の速度域でも活きるようにチューニングされているが、些細な加速でもキックダウンの段差を感じるし、パドルで使いこなすには刻みが多すぎる感もある。

ランフラットタイヤを履く足捌きも年次改良を重ねているが、さすがにちょっと旧さが感じられるようになってきた印象だ。高負荷域になるとギャップを超えての上屋の跳ね上がりやバネ下のバタつきも気になってくる。

それでも、設えの質感は今も一線級なキャビンで、2UR-GSEの官能性を味わいながらのドライブは格別の贅沢だ。同系のエンジンを搭載したライバルもいた初出時に比べると、その体験は間違いなく特別なものになっている。日々の移動では大排気量の余裕やV8の滑らかさを上質感として味わいつつ、時折り唱わせての高揚感を愉しむ。そういう、達観した大人の向き合い方ができるクーペが日本にもあることが誇らしい。

IS以上IS F未満の絶妙なポジションを狙った

IS500の正式車名には"Fスポーツパフォーマンス"というタイトルがついている。主にコスメティックとサスペンションが変更となるFスポーツに対して、よりダイナミクスを強化しながらも、サーキット走行を念頭に置いたFほどの先鋭さとは一線を画するというその位置付けは、BMWでいうところのMパフォーマンスといったところだろうか。

画像: IS500 “Fスポーツ パフォーマンス ファーストエディション”。コクピットまわりの基本デザインは標準車と同じだが、シート表皮などはファーストエディション専用となる。

IS500 “Fスポーツ パフォーマンス ファーストエディション”。コクピットまわりの基本デザインは標準車と同じだが、シート表皮などはファーストエディション専用となる。

いわばIS500における2UR-GSEは、その差別化のために用いられた飛び道具だ。企画のきっかけはやはり北米市場からの要望だったようで、日本仕様向けはさらに熟成を重ねたこのタイミングでの導入となった。

日本では根強い人気を誇るIS Fの代替としての役割も見込まれるが、狙いどおりでクルマの成り立ちはあちらほど尖ってはいない。足まわりのレートは柔らかく、フロントディスクも2ピースながら若干小径、キャリパーも対向4ポッドとなっている。LSDはIS Fと同じトルセンだが、TVDのようにアクティブな電子制御デバイスは用いられない。

そのぶんというわけではないだろうが、IS500の乗り味は抱くパワーを鑑みるとちょっと驚くほどに洗練されていた。スプリングやスタビライザーといったレートの適切さに日立製AVSダンパーの可動特性がしっかり合わせこまれている印象で、ごく低速域から乗り心地はしっかり角が取れていて、突き上げなどの不快要素も綺麗に丸められている。

他グレードのISに比べても路面入力での微振が少なく、ひときわ滑らかな転がり感を得ているのは、車体の前後端に据えられたパフォーマンスダンパーの恩恵だろう。

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