2023年春の発売を予定されているレクサスの新たなBEV(電気自動車)であるRZ。レクサスらしいラグジュアリー性や前後2モーターによるスポーツ性、ステア・バイ・ワイヤの採用など、そのキャラクターに注目が集まる中、フランス・マルセイユを舞台にRZ450eの試乗会が行われた。

交差点や車庫入れで持ち替えはほぼ不要に

動力性能は申し分ないが、決してそれをひけらかすタイプではない。アクセル操作に応じてリニアに速度が乗っていき、しかも踏み込めば心地良い伸び感も味わえる。アクセルを戻した時の挙動も自然で、とても扱いやすい。

この乗り心地、そしてドライバビリティにはDIRECT4も貢献している。駆動力制御によりピッチングを抑制して、穏やかな挙動変化を実現しているのだ。

無論、旋回時にもその効果は存分に発揮される。前後重量配分の良さ、重心の低さも活きていて、狭いワインディングロードも苦にせず楽しむことができた。

画像: RZは前150kW/後80kWを発生する2モーター式の4WD。bZ4Xにも4WDモデルは用意されるがモーターパワーは前80kW/後80kWで異なる。

RZは前150kW/後80kWを発生する2モーター式の4WD。bZ4Xにも4WDモデルは用意されるがモーターパワーは前80kW/後80kWで異なる。

前後駆動力配分は自在とは言え、前後モーターに出力差があるため、リアから旋回していくような挙動にまではなっていない。しかしながら、それがちょうど良い按配の清涼なフットワークと感じさせるのも、また確かなのだ。

それでも、もっと刺激を・・・という人のためには「ワンモーショングリップ」と呼ばれるステア・バイ・ワイヤシステムが用意されている。操縦桿のような形状のステアリングホイールとタイヤは機械的に接続されておらず、操作は電気信号に置き換えられ、舵は電動で切られる。操舵角は左右約150度で、つまり交差点などでも持ち替えは不要となっている。

画像: ワンモーショングリップ搭載モデルは直進状態であればハンドルによってメーターを遮られることはない。ステア・バイ・ワイヤではない通常の丸型ハンドルモデルもラインナップされる。

ワンモーショングリップ搭載モデルは直進状態であればハンドルによってメーターを遮られることはない。ステア・バイ・ワイヤではない通常の丸型ハンドルモデルもラインナップされる。

最初は特に低速域でのクイックな挙動に面食らうかもしれないが、クルマ好き、運転好きな人なら慣れるのにそれほど時間はかからないはず。切れ味の鋭さもさることながら、絶対的な操作量が少なくなることで上半身を安定させられ、また正確な操作を疲れず行なうことができるのも、そのメリットだ。

ただし、ワンモーショングリップは発売から遅れての設定になるという。現状ではまだ残る低速域の違和感をチューニング中というのだが、私としては、これは十分許容範囲内だと感じた。多少の違和感は否定しないが、面白さはそれを上回る。早期の導入を期待したい。

BEVの特徴をレクサスらしい走りの世界の表現に実に巧みに活用してみせたRZ。走りもそうだし、リサイクル素材の活用、そして今後発表予定の充電ネットワーク戦略など、見どころは盛りだくさんだ。トヨタ自動車のBEV戦略の急先鋒という役割を担うこのブランドの改めての挨拶に代えての1台として、まさにこれ以上ないモデルと言えるだろう。(文:島下泰久/写真:Lexus International)

レクサス RZ(プロトタイプ) 主要諸元

全長×全幅×全高:4805×1895×1635mm
ホイールベース:2850mm
車両重量:2110kg
搭載パワートレーン:2モーター(フロント+リア)
最高出力:150kW(フロント)/80kW(リア)
最大トルク:ー
最小回転半径:ー
駆動方式:4WD
一充電走行距離:ー
総電力量:71.4kWh
タイヤサイズ:20インチ
車両価格:ー

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