スポーティさの中に質感の高さを感じさせるフォルム
メルセデス・ベンツのベストセラーSUV「GLC」。2022年9月に本国ドイツでフルモデルチェンジが行われ2代目へと進化をみせたが、ついに日本にもその姿を現すこととなった。
エクステリアは他のファミリーと同様に、メルセデス・ベンツのデザイン基本思想である「センシュアル(Sensual)ピュリティ(Purity)<官能的純粋>」を継承しつつ、そこに「知性(Intelligence)」と「感情(Emotion)」を感じさせるものとされたという。
具体的には、従来モデル比で全長を同50mm、ホイールベースを15mm伸ばすことで、スポーティなシルエットを創り出している。ちなみに、全幅は従来モデルと同じ1890mmとなる。
フロントデザインは、標準仕様ではフロントグリル周囲を縁取るクロームトリムとアンダーガード調のワイドなクロームトリムのコンビネーションを採用。AMGラインでは斬新なスターパターングリルとなる。立体的に配されたスリーポインテッドスターと大胆な開口部を備えたアグレッシブなフロントバンパーが、フロントグリルと連続したスリムなヘッドライトともどもその存在感をアピールしている。
ボディワークはキャラクターラインやエッジを大幅に削減し、曲線・曲面を描くことによる陰影は新型「GLC」の彫刻的デザインの特徴となっている。プロポーションが強調されるとともに、ホイールアーチにアクセントを与えている。
そして、Dピラーに向けて緩やかに上昇するウインドウラインが、スポーティさを表現するとともに、ヘッドライト/テールランプそれぞれから伸びる前後のホイールアーチ上のラインと、前後ドアパネル下部を貫く3本のラインが、伸びやかなサイドの曲面に絶妙なエッジを加えて力強さを感じさせるものとなっている。
リアデザインは、張り出したフェンダーと水平基調のリアバンパー、立体感あるスリムなテールランプが目をひく。リアバンパーは、クロームのアンダーガード風のデザインが採用され、クロームトリムが左右のエキゾーストエンドと一体化した力強い造形とされた。
11.9インチと12.3インチのディスプレイを装備
インテリアに目を移すと、ダッシュボードが上下2つに分かれていることに気づく。上部は翼のような形状に、航空機エンジンのナセルを想わせる丸みをつけたやや横長の角型エアアウトレットが配置され、下部には大きなインテリアトリムが広がる。インテリアトリムは、標準仕様でもオプション選択時でもリアルウッドインテリアトリムが採用される。
ちなみに、インテリアトリムは3タイプあり、標準仕様・AMGラインパッケージ仕様・レザーエクスクルーシブパッケージ/AMGレザーエクスクルーシブパッケージ仕様で異なる印象となっている。
ドライバーの視認性向上のための工夫も行われている。ダッシュボードと縦型の11.9インチのメディアディスプレイを6度ドライバー側に傾けた新しいデザインの採用がそれだ。運転席に備わる12.3インチの大型コックピットディスプレイが、自立型でダッシュボード上部と大きなインテリアトリムの手前に浮かんでいるように見えるのも同様だ。
ドアパネルは特徴的で、ドアのセンターパネル(垂直面)からアームレストが水平方向に張り出す形で、浮遊しているようにも見えてしまう。このアームレストはドアを閉めるときのグリップになるだけでなく、助手席においてはグラブハンドルにもなる。
ステアリングホイールは、メルセデス・ベンツの最新世代のものを装備。ナビゲーションやインストルメントクラスター内の各種設定や安全運転支援システムの設定を全て手元で完結することができる。AMGラインでは、中央のそれぞれのスポークがツインスポークとなる。
また、これまでタッチコントロールボタンへの接触やステアリングホイールにかかるトルクで判定していた、ディスタンスアシスト・ディストロニック使用時のハンズオフ検知機能を静電容量式センサーへと変更されている。これにより、操舵力がかかっていなくてもドライバーがステアリングホイールを握っていることを認識するようになった。
実用性では、620~1680Lの大容量ラゲッジルームが光る。カーゴポジションを標準装備し、リアシートのバックレストを約10度起こすことでラゲッジルームの容量が従来比で約70~80L増加しているラゲッジルームカバーはフロア下に格納することが可能だ。