世の中に電気自動車の種類と台数は増えたけれど・・・
ふっと気がつけば、日本車メーカーも輸入車インポーターも、さまざまな電気自動車(以下、EV)を日本市場に導入している。だが、その多くはボディタイプがSUVだ。たしかにSUVは今なお世界的なブームが続いているし、EVに必要なバッテリーやユニット、そして室内スペースなどとの関係を考えると、現段階ではSUVがもっともEVに適しているといえるだろう。
それでも、EVならではの速さを堪能すべく、ポルシェ タイカンやアウディ eトロンGTといったスポーツカーも登場してきた。ロータスもエヴァイヤをスタンバイしているし、いずれは日本車メーカーからもEVスポーツカーが登場するに違いない。だが、少なくとも現段階ではEVスポーツカーは「ヘビー級」が主流。絶対的な速さはハンパなく、グランツーリスモとしては最高だろうが、ワインディングロードなどでファン to ドライブを楽しむには、サイズが大きく、重い。そして車両価格は、かなりお高いものばかり・・・。
今につながるEVの流れを作ったのは、テスラだ。その最初のモデル、テスラ ロードスターに初めて乗ったときの感動は忘れられない。ロータス エリーゼをベースにしたコンパクトなボディが、エンジンとは違う、独特の音を発しながらエンドレスな加速で車速を伸ばしていく。エンジン車より重いとはいえ、1.2トンほどしかなく、ワインディングロードをヒラリヒラリとはいわないが軽快に駆け抜ける。
「EVでも、ファン to ドライブなクルマってできるんだな!」と思わずにはいられなかったのだが、世の中にEVを普及させるには、やはりこのクルマでは不向き。テスラもセダンやSUVが主流となり、ロードスターは新たなモデルの開発を進めているが、やはりグランツーリスモ的なモデルになるようだ。
その後、2015年の東京モーターショーでヤマハがゴードン・マーレーとコラボした「スポーツ ライド コンセプト」というコンパクトな2シータースポーツを参考出品。EVも検討されており、多くのクルマ好きから市販化を期待されたのだが、残念ながら実現しなかった。