クルマは長く乗れば乗るほど見えてくるものがある。これまでいくつものエンジン搭載モデルを長期にわたってレポートしてきたが、今回連載している長期レポートのクルマは電気自動車(BEV)である「DS3クロスバック Eテンス(DS3 CROSSBACK E-TENSE)」だ。(第9回/Motor Magazine 2022年12月号より)

目のピント調整性能が低下したのではないかと危惧するも・・・

そしてナイトドライブによく使っているのが標準で装備されるヘッドアップディスプレイだ。普段はメーターバイザーに収納されていて、使いたい時に薄くグレーがかった透明なパネルをボタン操作でポップアップ。スピードメーターとアクティブクルーズコントロールの作動状況、トラフィックサインインフォメーションを表示してくれるというもの。

画像: 屈折の効果によって像が少しズレて見えるのも気になったところ。近くを見ることも多い市街地ではあまり使用しない。

屈折の効果によって像が少しズレて見えるのも気になったところ。近くを見ることも多い市街地ではあまり使用しない。

なぜ夜間の高速道路走行で使うのか、その理由は加齢もあるのだろうが、目が疲れているとメーターにピントを合わせるまでに時間がかかるようになった気がするから。視線の移動距離を短く、そしてメーターパネルよりも少し奥に表示してくれるのでフォーカスするまでの時間を短縮できるのだ。

実は長期レポート車として導入してからしばらく、この機能はオフにしていた。昼間にポップアップしておくと、透明とはいえ高さのあるパネルによって視界を遮られているような気がしたのだ。

しかし夜間になるとその違和感はほとんど消えて、しかも視線を先に置く高速道路では視認性を大きく高めてくれる機能であることに気づいた、というわけだ。

画像: 暗くなってくれば、パネルの存在感はほとんどなくなる。高速道路を降りたあとでも活躍してくれる機能だ。

暗くなってくれば、パネルの存在感はほとんどなくなる。高速道路を降りたあとでも活躍してくれる機能だ。

カスタムモードが導入されないかと期待を残し・・・

そして最後にもうひとつ。高速走行をアシストする機能とはちょっと違うが、ドライブモードの変更でモーター出力の特性だけでなく、パワーステアリングの効き方も変わってくることについても書いておこう。

「ノーマル」や「エコ」モードを選択しているとハンドルの操作感は軽やかだ。女性からの人気が高いというDSブランドらしい味付けだと推測できるが、男性であっても道幅の狭い住宅街を進むときや駐車するときなど、この設定を嬉しく感じるシーンは多々ある。

その反面、高速道路を走っていると軽すぎると感じることもある。そんな時はドライブモードを「スポーツ」に変更すれば万事解決。ハンドルセンターからしっかり感が強まって、直進安定性も増しているように感じられる。

贅沢を言わせてもらえば、モーターパワーとパワーステアリングの特性を個別に設定できる「カスタム」モードを用意してくれると嬉しいのだが・・・今後の改良で導入されるかどうか。

画像: スポーツモードに設定するとパワーステアリングのアシストは弱く、メーターパネルの表示は赤基調に変化。

スポーツモードに設定するとパワーステアリングのアシストは弱く、メーターパネルの表示は赤基調に変化。

第9回/2022年9月21日〜10月19日(11カ月目)のデータ
・オドメーター:1万7518km
・当月の走行距離:2082km
・充電量:約377kWh(充電メーター換算値)
・電費:約5.52km/kWh
・充電回数:15回(内、200V普通充電を13回/急速充電を2回)

DS3 クロスバック Eテンス 主要諸元

●全長×全幅×全高:4120×1790×1550mm
●ホイールベース:2560mm
●車両重量:1580kg
●モーター:交流同期電動機 ZK01型
●最高出力:100kW(136ps)/5500rpm
●最大トルク:260Nm/300-3674rpm
●バッテリー総電力量:50kWh
●JC08モード航続距離:398km
●0→100km/h加速:8.7秒
●最高速度:150km/h
●駆動方式:FWD
●タイヤサイズ:215/55R18
●車両価格:559万3000円(2023年5月現在)

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