最大で50%のコスト削減が見込めるユニファイドセル

フォルクスワーゲングループからは、さらなる戦略的ポートフォリオが公表されている。2025年から量産車向けに生産される計画のユニファイドセル(新しい統一規格のバッテリーセル)は(当初予定よりは少しばかり後送りになっているようだが)、ボリュームセグメントで約30%ほど、エントリーセグメントでは約50%に達する段階的なコスト削減を目指している。

画像: 90km/hを超える速度領域での高速走行時、車線変更の支援をサポートするトラベルアシストを設定。パーキングアシストには、スマートフォンアプリを使った車外からの操作機能まで追加された。

90km/hを超える速度領域での高速走行時、車線変更の支援をサポートするトラベルアシストを設定。パーキングアシストには、スマートフォンアプリを使った車外からの操作機能まで追加された。

2021年のテクノロジー・ロードマップでは、1kWhあたり100ユーロまでバッテリーセルのコストを下げることが目標値とされている。2030年までに、フォルクスワーゲン グループは、パートナーと協力して、ヨーロッパ全域で合計240GWhの6つのセル工場を操業する予定だが、これはすべてのグループモデルの最大80%で利用できるようになるようだ。

世界的なリサーチ会社である北米ブルームバーグNEFによれば、2022年のリチウムイオン電池パックの平均価格は151ドル(およそ137円)。100ユーロ(2023年5月5日時点のレートでおよそ110米ドル)という数字は、ウクライナ情勢など不確定要素はあるものの、フォルクスワーゲングループが持つスケールメリットを活かせばおそらく、不可能な目標ではないだろう。

2023年1月にオフィシャルに発表された実績によれば、2022年のグループ全体では57万2100台のBEVをユーザーに納めている。EVのシェアは、前年の5.1%から6.9%まで成長した。ちなみに原材料の供給不足によるバックオーダーは西ヨーロッパにおいて180万台に達しているが、そのうち31万台(17%超)がEVだという数値も、衰えない勢いを感じさせる。

内燃機関の「リミット」延長は歓迎。だが一方で「現実解」はやはり・・・

欧州委員会におけるICEの扱いを巡った丁々発止は、各国の思惑が交錯する中で様々な憶測を生んでいるものの、電動化に向けた流れが停滞することはあり得ない。もちろんカーボンニュートラルな合成液体燃料が実用化されることで、魅力的なパワートレーンの多様性がある程度の期間、保たれることは歓迎したい。

画像: フロントには多機能なマッサージシートを採用、タッチ操作でクリア/スモーク状態を切り替えることが可能なスマートガラスを備えたパノラマサンルーフといった、快適装備も充実している。ハイエンドなオーディオシステムは、14スピーカーを奢っている。

フロントには多機能なマッサージシートを採用、タッチ操作でクリア/スモーク状態を切り替えることが可能なスマートガラスを備えたパノラマサンルーフといった、快適装備も充実している。ハイエンドなオーディオシステムは、14スピーカーを奢っている。

個人的にも、「BEVが当たり前」な近未来のマイカーライフを、そろそろ真剣に考え始めている今日この頃、フォルクスワーゲングループのようなスケールメリットを生かした取り組みには、いろいろな意味で期待感があおられる。

2025年をメドに発売が予定される約2万ポンドのエントリーBEVハッチバックにはもちろん、モジュールの組み合わせによっては500kW(680ps)のハイスペック仕様にまで対応可能だという。お得感まで含めた多様性と信頼性というアドバンテージは、そうとう大きそうだ。

発電環境や充電インフラといった基幹技術の進化も常に見据えながら、これからの「愛車と付き合う毎日」をいろんなパターンでイメージしてみるのも、なかなかに楽しい。

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