2010年4月、デビューから6年目を迎えた2代目BMW X5(E70)がマイナーチェンジされて登場した。折しもポルシェカイエンがフルモデルチェンジされたばかりで、プレミアムSUVセグメントが新しい時代を迎えようとしている時期であった。はたしてこの時BMW X5はどのような進化を見せていたのか。ここでは発表間もなくアメリカ・マイアミで行われた国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2010年6月号より)

全車にZF製8速オートマチックを設定

1997年にアメリカ・アラバマ州タスカルーサで生産が開始され、世界市場へ向けて出荷が始まったメルセデス・ベンツの初代Mクラスは、老舗のブランド力がものを言って、ラダーフレームという古典的な構造を持つにもかかわらずプレミアムSUVのトップセリングとなった。

画像: リアではコンビネーションライトに横長のクロームラインが入れられた。またバンパーがディフューザー形状となり、エグゾーストパイプはそのバンパーと一体になったリアフィニッシャーの両側から突き出ている。

リアではコンビネーションライトに横長のクロームラインが入れられた。またバンパーがディフューザー形状となり、エグゾーストパイプはそのバンパーと一体になったリアフィニッシャーの両側から突き出ている。

この成功は、それまでランドローバーとグランドチェロキーがほぼ独占してきたこのセグメントにまだまだ可能性が残っていることを示す、なによりの根拠となった。

そしてMクラスに遅れること2年、1999年にBMWもサウスキャロライナ州のスパータンバーグ工場で、初代X5(E53)の生産を開始した。

SUV(スポーツユーティリティビークル)ならぬSAV(スポーツアクティビティビークル)と、自ら違いを強調したBMW初のフルサイズSUVは、5シリーズのフロアグループとコンポーネンツをベースに構築されており、乗用車的デザインと快適かつスポーティな乗り心地で人気を得て、あっという間にMクラスの牙城に迫っていった。X5の累計出荷台数は2005年6月には50万台、2世代目も加えると、まもなく100万台に達する見通しである。

そしてこの2世代目X5(E70)が6年目を迎えた2010年、マイナーチェンジを行った。

マイアミで開催された試乗会でマンダリンオリエンタルホテルのファサード前に並んだニューX5は、エクステリアに関して言えばひと目どころかふた目、さらに近くに寄って観察して、ようやく旧型との差がわかる程度のものであった。

変化は主にバンパー/スカート部分で、両端にクロームアプリケーションが横切ったエアインテークが設けられた結果、小径のドライビングライトは中央寄りに移動した。

一方、リアエンドはコンビネーションライトの真ん中に横長のクロームラインが入ったのが目立つ。そしてクロームメッキのエグゾーストパイプはバンパーと一体になったリアフィニッシャーの両側から突き出ている。 

こうしたデザインの変更はこれまでのブラックアウトされたプラスチック部分を減らし、ボディと同色の部分を増やすことによって、頑強なオフローダーというイメージを弱め、同時に乗用車っぽくするという意図が込められている。

もう少し意地悪く言えば、プラスチック部分の形状と色を変えるだけで、ボディのメタル外皮に及ばない程度で済ませているというわけである。一方インテリアは、ステアリングホイールのホーンパッド下辺にクロームの縁取りが付いた一カ所を除いて、まったく変わっていない。もちろんボディのサイズも新旧は同一である。

さらに搭載されるエンジンも基本的には旧モデルと同じものだが、すべての機種にZF製8速オートマチックが組み合わされ、モデルの名称が整理された結果、xDrive35i、xDrive50i、xDrive35d、xDrive40dの4機種がカタログに載せられる。

This article is a sponsored article by
''.