決してハイパワーではなかったが、ハイウェイクルージングではゆったり
スカイライン1900デラックスの美点は、1340kgの重量を生かした乗り心地の良さにある。バックボーントレーフレームと結合されたボディの剛性はきわめて高く、荒れた路面でも捩れや振動がよく抑えられているし、前:ダブルウイッシュボーン/後:ド・ディオンアクスルのサスペンションは、高い接地性を発揮すると同時に路面からのショックやノイズをよく吸収して直接車内に伝えない。
乗り心地自体はかなり柔らかく、「この重量感は4 ~ 5年前の堅牢な米車のセダンに似ている。前後席の乗り心地に差がないのも特徴的である(モーターマガジン誌・昭和36年10月号)」と、当時の国産車とはひと味違う乗り味が評された。
一方、走行性能では、重い車重と最高出力91ps/4800rpmに対して15.0kgmの最大トルクを3600rpmで発生する高回転型エンジン特性に加え、ステアリングホイール/クラッチ/ブレーキなど「すべてのコントロール類が最近の標準からすると非常に重く、シフトレバーも操作が硬くぎこちない(モーターマガジン誌・同上)」ために、変速操作の多い市街地走行は苦手とした。発進加速も2名乗車で0→80km/hが14.6秒と、当時の セドリック・カスタム(1900cc/11.3秒)に大差をつけられた。
しかし、ひとたび広く空いたハイウエイに入ると、「スカイライン1900は水を得た魚のように生彩を取り戻す(モーターマガジン誌・昭和36年10月号)」。明らかに「高速車」を目指した設計であり、グランドツアラー的性格がライバルと一線を画すスカイラインの持ち味でもあった。
昭和37(1962)年10月、スカイラインは大規模なマイナーチェンジを受ける。価格はスーパー(従来のデラックス)が96万円、スタンダードは79万円まで値下げされたが、販売力の差もあってクラウンやセドリックの牙城は崩せず、ナンバー3の地位のまま翌昭和38(1963)年9月のフルモデルチェンジで1.5Lクラスの小型ファミリーカー・S50型として生まれ変わることになる。
プリンス・スカイライン1900デラックス主要諸元
●全長×全幅×全高:4380×1675×1535mm
●ホイールベース:2535mm
●重量:1340kg
●エンジン型式・種類:GB4型・直4 OHV
●排気量:1862cc
●最高出力:91ps/4800rpm
●最大トルク:15.0kgm/3600rpm
●トランスミッション:4速コラムMT
●タイヤサイズ:7.00-14 4PR
●新車価格:102万円