1970年代の後半に大ブームが起き、今もなお人々を魅了してやまないスーパーカーたち。そんな懐かしいモデルから現代のハイパースポーツまでを紹介していく、スーパーカークロニクル。今回は、フェラーリ FXXだ

フェラーリ FXX(FERRARI FXX:2005)

画像: エンツォフェラーリをベースに、サーキット走行専用モデルとして29台が限定生産された「FXX」。

エンツォフェラーリをベースに、サーキット走行専用モデルとして29台が限定生産された「FXX」。

2005年、フェラーリはエンツォフェラーリをベースにユニークなモデルを作り上げた。それが、「フェラーリ FXX」だ。この車名は、エンツォフェラーリの開発コード「FX」に、未知の可能性やスピードを意味する「X」を付け加えたものといわれている。

フェラーリ FXXは公道を走行することができないサーキット走行専用車両だが、レースに参戦するためのレギュレーションに適合したクルマでもない。オーナーがサーキットを走行し、FXXに装着されたテレメトリーシステムによってデータがピットにいるフェラーリの技術者に送られる。こうして得たデータを、新型車両の開発に投入するというプログラムから生まれたモデルなのだ。

スタイルはエンツォフェラーリと大きくは変わらないが、ボディパネルをカーボンファイバー製に替えて約100kgの軽量化を図ると同時に、空力改善によりエンツォの1.5倍近いダウンフォースを実現。リアには可動式のスポイラーも装着され、サーキットに応じて高さや角度調節が可能だ。

画像: リアまわりはレーシングマシンのよう。リアスポイラーは走行条件に合わせて調節が可能だ。

リアまわりはレーシングマシンのよう。リアスポイラーは走行条件に合わせて調節が可能だ。

リアにミッドシップされるエンジンは、65度のV型12気筒という形式こそ同じだが、排気量は6262ccにアップされ、最高出力は800ps、最大トルクは70.0kgmというハイパワーを発生する。トランスミッションはセミATのF1マチックで、F1マシンのテクノロジーをフィードバックさせ、シフト時間は約0.08秒まで短縮されている。

フェラーリ FXXは限定29台で、フェラーリによって認められたオーナーだけが手に入れることができた。日本にも数人のオーナーがいるようだ。各種メンテナンスなども含め、価格は150万ユーロ(発表当時のレートで2億円以上!)。オーナーがサーキット走行する場合はメカニックなどが派遣され(それが日本でも)、またレーシングドライバーによるドライビングレッスンなども受けることができた。

2007年には、FXXからのフィードバックを基に、さらに進化したトラクションコントロール システムやカーボンブレーキなどを装着し、エンジンの最高出力も860psにまでアップされた「エボルツィオーネ」も製作された。

フェラーリ FXX 主要諸元

●全長×全幅×全高:4832×2040×1127mm
●ホイールベース:2650mm
●車両重量:1155kg
●エンジン種類:65度V12 DOHC
●総排気量:6262cc
●最高出力:800ps/8500rpm
●最大トルク:70.0kgm/5750rpm
●燃料・タンク容量:無鉛プレミアム・112L
●トランスミッション:6速AMT
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●タイヤサイズ:前245/35ZR19、後345/35ZR19

画像: amzn.to
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