2010年3月のジュネーブ国際モーターショーでアルファロメオ147の実質的な後継車となる「ジュリエッタ」が発表された。そしてその年の春にはイタリアで販売が開始されている。Motor Magazine誌では早くからこのモデルに注目、もちろんイタリア・トリノで行われた国際試乗会にも参加している。ここではその時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2010年8月号より)

全体的バランスに優れたスポーツCセグメント

まず、試乗したのは1.75Lエンジンを搭載する「1750TBi」だ。コクピットはスタイリング同様に8cコンペティツィオーネの流れを汲むもので、非常にスポーティな雰囲気。アルミ素材が随所に輝きを見せ、全体のデザインは横方向の広がりを感じさせる水平基調だ。その中に丸型のメーターやスイッチ類が並ぶ。スタイリングはエレガントさとスポーティムードがうまく融合した素晴らしいものだが、インパネまりはエレガントさよりも、スポーツムードがかなり勝っているという印象だ。

画像: ボリューム感のあるリアまわりで、デザイン上のいいアクセントになっているのがコンビネーションライト内に配されているLED。

ボリューム感のあるリアまわりで、デザイン上のいいアクセントになっているのがコンビネーションライト内に配されているLED。

バロッコのテストコースからトリノへ向けて、まずはカントリーロードを走った。道幅は広くなく、緩やかなカーブが続くところだが、そこを60〜70km/hくらいで流していると感じるのは「クルマの軽さ」だ。

最高出力が235ps、最大トルクが340Nmのエンジンで車両重量は1395kgだから軽く感じて当然なのだが、もう少し、どっしりしたところも欲しい。これはアルファDNAがノーマル状態のときの印象だが、ダイナミックにするとかなり変わる。ハンドルの手応えは明らかに重くなり、エンジンはアクセルペダルの踏み込みに対して敏感に反応するようになる。好みの問題ではあるが、これなら基本をダイナミックモードにして、時と場合に応じてノーマルモードにするという方がしっくりくる。

その後、高速道路に入ったが、静粛性は高く、高速走行時の安定性もかなり高い。この辺りは新型プラットフォームの恩恵だろう。さらにハンドルに不快な突き上げがほとんど伝わってこない点などにも好印象を受けた。

また、235psのエンジンは80〜120km/hの範囲の機敏な中間加速もこなしてくれるので、混雑気味の高速道路も走りやすかった。

トリノ市内に入ると時折、石畳の路面が出現するが、こういうときにはアルファDNAをノーマルにするといい。ダイナミックでは不快な突き上げもノーマルならば許せる範囲に収まる。

翌日、1.4TBマルチエアに試乗した。前述のように最高出力は170psで、タイヤは175TBiが225/40R18だったのに対し、これは225/45R17サイズだ。

試乗場所は、まず高低差がかなりあるワインディングロードだったが、かなりよく走る。はじめてゴルフTSIに乗ったときも、ワインディングを走るのに夢中になってしまったが、そのときと同じような印象を受けた。スペックが同じであるという先入観が、そう感じさせる面もあるのかも知れないが、何回か走ってもその好印象は変わらなかった。もちろん、こうしたときはアルファDNAはダイナミックがいい。

同じコースを1750TBiでも走ってみたが、明らかにパワフルで速く走ることはできるが、クルマ全体のまとまりは1.4TBの方がしっくりくる。1750TBiには「もう少し、どっしりしたところも欲しい」と書いたが、1.4TBの方がその点では好みだ。Cセグメントのスポーツモデルとしては、こちらの方がバランスがいい。

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