今や日本では日産唯一のセダンとなったスカイライン
13代目となる現行型のスカイライン(V37型)が発表されたのは、2013年。日本では2014年2月から発売されたので、すでに9年半も販売されているロングセラーだ。その間に、いまやクルマの主流はSUV、それに続くのはミニバンや軽自動車といった様相で、日本車のセダンは次々とフェードアウトしている。日本市場では新車で手に入る日産のセダンは、いまやスカイラインだけになってしまった。
そのスカイラインも「現行モデル限りか?」などと噂されているが、日産はスカイラインに限定モデルながら特別仕様モデルの「スカイライン NISMO」を発表した。その概要に関しては当Webモーターマガジンでも速報で紹介したが、発表会の模様も紹介しておこう。
今回、スペシャルゲストとして登場したのは、スカイラインを駆って数多くのレースで勝利を重ねた「日本一速い男」星野一義氏。そして、スカイライン NISMOの開発担当者である長谷川 聡氏。長谷川氏は、NMCでスーパーGTのフェアレディZといったレース用マシンの開発も手がけている。
じつは日産ワークスのレーシングドライバーになる前に、スカイラインGT-B(2代目のS54B)を購入して乗っていたという星野氏。その言葉の端々から「日産愛」や「スカイライン愛」が感じられたのだが、今回のスカイラインNISMOをサーキットで試乗して、ハードすぎない「大人のセッティング」に感服したという。
GTとして最良のレベルに仕上げられたスカイラインNISMO
スカイラインNISMOのコンセプトは「The スカイラインGT」だと長谷川氏は語る。そのスタイリングはスカイラインファンやNISMOファンに好かれるものでなければならない。そして、より速く、気持ち良く、安心して乗れるクルマでなければならない。しかもセダンであるから、居住性や快適性も諦めてはいけない。これは、スカイラインGT生みの親である櫻井真一郎氏のクルマ作りに近づきたいという思いでもあったという。
最近のクルマは実車でのテストではなく、コンピュータ上のシミュレーションで仕上げていくモデルも多い。だが、このスカイラインNISMOは日産の評価ドライバーに数多く乗ってもらい、ドライバーとの対話で仕上げていった。それが、サーキットで試乗した星野氏が降りるなり「いいね!」と言った結果に結びついている。
都内の40km/hでも、高速道路の100km/hでも、箱根ターンパイクのようなワインディングロードでも走りを楽しむことができ、タイヤのグリップ感をステアリングホイールに伝えてくる。星野氏は「GTとして最良のレベルにある」と評価し、「できればマニュアルシフトが欲しくなるね」と語った。