BEV化への道筋で課題となる、内燃機関へ未練を抱くユーザーマインド
25年までに販売する車両の50%で電動化を完了し、30年までに80%をBEV化する。これはポルシェが公に示しているカーボンニュートラル化への短中期的ビジョンだ。ただし、これらは公約ではなく、あくまで目標でもある。
このロードマップに従ってポルシェが粛々と進めているのが、ご存知のとおりBEVの展開だ。アウディe-トロンGTも用いるJ1プラットフォームを採用したタイカンシリーズは、従来からの彼らのモデルチェンジの流儀に従うなら、先だって発表されたGTSをマイルストーンとしてマイナーチェンジが施されることになる。
これと並行して、アウディとの共同開発となるPPEプラットフォームを採用した初のポルシェとして近々の登場が予定されているのが次期マカンだ。ポルシェのラインナップにおいては台数的にカイエンとのツートップを構成する銘柄だけに、そのBEV化はビジネス面においても影響が大きい。
次期マカンはすでにニュルブルクリンクをはじめとしたさまざまなシチュエーションでテストを繰り返しているが、内燃機モデルの併売という道筋を描くのは難しそうだ。大看板が退路を断って完全BEV化へと移行するのかどうか、注目が集まるだろう。
同じく大胆なBEVシフトがスタンバイしていると思われるのがボクスター&ケイマンだ。すでにケイマン718GT4をベースとするレース用車両の実走モデルもお披露目されるなど、技術的なハードルは克服しているようにも窺える。そして内燃機とのコンパチビリティという点においてもPPEプラットフォームよりは柔軟性が高い。
最大の課題はパフォーマンスよりむしろ、内燃機の官能性に対する未練を抱くユーザーマインドの掌握ではないだろうか。これは近々EV化が見込まれる911においても同様の課題となる。