いっそう洗練された新型はスポーツカーの枠を超えた
カチッとした乗り味は進化というよりも変化に近い。優れたレスポンスとダイレクト感をボディやエンジン、サスペンションやさまざまな電子デバイスによって仕立てられた精密さは、かっちりと糊の効いたYシャツに着替えたような硬質な乗り味を生んでいる。
![画像: ウルトララグジュアリーを体現する新たな意匠をまとったインテリアは、独自の最新インフォテインメントを備える。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2023/08/28/8092d0bdedf04846cddad6cbde9ef7141f994040_xlarge.jpg)
ウルトララグジュアリーを体現する新たな意匠をまとったインテリアは、独自の最新インフォテインメントを備える。
乗り心地は、全般にダイレクト感が増した一方で、荒れた路面や凹凸に対してはより柔軟な所作を身につけていた。おかげで南仏の険しい山間ルートにあるタイトコーナーでも、しなやかさでありながらピタリとラインをトレースして曲がる。
操舵フィールは、決して重くなく中立付近からリニアなレスポンスが得られるうえ柔軟だ。市街地ではクルマからの雑音や振動が抑えられ快適性も向上。エンジンが持つ性能のうち、ほんのわずかのパワーを使いながら、この美しいボディを身にまとって、買い物へ出かけることができたらなんと優雅だろう。
インテリアの進化も著しい。センターコンソールのタッチスクリーンやスタートスイッチの下に移されたシフトセレクター、コクピットのデジタルディスプレイの鮮明さなどから実感できる。ちなみにコネクテッド機能も搭載する。
さらにインテリアの素材やデザイン、仕上げのクオリティは極めて高い。アストンマーティンが厳選したレザーをふんだんに使い、それは天井にまでおよぶ。そのクラフトマンシップに包まれて、心の豊かさや幸福感が増すようだった。
実は、ひとりの女性としてアストンマーティンとの距離を縮めたのがDB11だった。パフォーマンスの高さはもちろん、その上、良い芸術品が持つ気品さえ漂う美しさに引き込まれてしまった。
さらなる進化を遂げたもまた、単なるスポーツカーにあらず。私なんかよりも腕も目も肥えた大人たちを惹きつけるモデルへと昇華したことは間違いない。(文:飯田裕子/写真:アストンマーティン ジャパン)
アストンマーティン DB12主要諸元
●全長×全幅×全高:4725×2060×1295mm
●ホイールベース:2805mm
●車両重量:1685kg
●エンジン:V8DOHCツインターボ
●総排気量:3982cc
●最高出力:500kW(680ps)/6000rpm
●最大トルク:800Nm/2750-6000rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FR
コラム:【ブランド別スポーツカー動向】アストンマーティン
![画像: 限定車「VALOUR(ヴァラー)」。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2023/08/28/aa5f4354a6a41acbd2cb2d993e678b2f2723375c_xlarge.jpg)
限定車「VALOUR(ヴァラー)」。
アストンマーティンは2030年までに完全電動化を目標にしている。それに向けて、 2023年6月26日に米国EVメーカー「ルシッド」と提携を結びEVのパワートレーン供給を受けることを発表し、次世代BEVモデルのイメージを公開した。
一方で、2023年7月11日には、最後のエンジン時代を謳歌すべく5.2L V12ツインターボに6速MTを組み合わせた限定車「VALOUR(ヴァラー)」を発表している。
![画像: 次世代BEVモデルのイメージ。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2023/08/28/f8275cc890b9b3042e3525215782331708fa53c6.jpg)
次世代BEVモデルのイメージ。