ウラカンファミリーには、頂点の「STO」やオープン構造の「EVOスパイダー」、オフロード走行に対応した「ステラート」がある。そして「テクニカ」は、公道でもサーキットと同じように走り、ファミリーの中でもっとも多様性に富んでいる。(Motor Magazine2023年10月号より)

限定車シアンの面影。磨き抜かれた空力性能

2013年の発表から、いよいよ10年を迎えるランボルギーニ ウラカンにとって、まさに集大成と言える存在がウラカン テクニカである。すでに2024年の、何らかの電動化が施された後継車のデビューが公言されているから、それは同時に2003年に登場したガヤルド以来、20年に及ぶV10ミッドシップモデルの歴史のフィナーレを飾るモデルともなるわけだ。

画像: カーボンセラミックブレーキを採用、フロント6ピストン+Φ380×38mm、、リア4ピストン+Φ356×32mm。

カーボンセラミックブレーキを採用、フロント6ピストン+Φ380×38mm、、リア4ピストン+Φ356×32mm。

しかしサンタガータの面々は、最後まで全力で来た。見てのとおりウラカン テクニカは外観を大きく変更しているのである。フロントはオーバーハングが伸ばされ、ライトまわりにY字モチーフを大胆に用いたデザインとされた。

マニアならそこに限定車シアンの面影を感じるだろう。これは単なる意匠変更ではなく、Y字部分にエアカーテンが内蔵されるなど空力性能の向上も図っている。

サイドウインドウのグラフィックスも改められ、リアにはこれまでのエンジンカバーに代えて、垂直に切り立ったリアウインドウとCFRP製ボンネットを採用。ディフューザーも新形状となり、マフラーエンドはお馴染みのヘキサゴン型とされた。

これに固定式リアウイングを組み合わせることで、リアのダウンフォースはEVOに比べて35%増に、ドラッグは20%軽減されたという。

ウラカンのデザインは完成されていただけに、事前にはこのリファイン、さほどの期待感があったわけではなかったが、実車と対面して一気にテンションが高まってしまった。やはり単なる意匠ではなく、性能と直結したデザインだということが直感的に響いてきたのだろう。

日常使用に耐えるどころか、長距離移動だって楽しめる

試乗した車両はボディカラーも美しかった。「Blu Uranus」。要するに天王星の蒼ということで、ネーミングも含めてスペーシーな存在感を醸し出していたのだ。

画像: トランスミッションは7速DCTの「LDF」、リアホイールステリング機能も採用している。

トランスミッションは7速DCTの「LDF」、リアホイールステリング機能も採用している。

ハードウェアは決して目新しいものではないが、その組み合わせ方には明確な意図が見て取れる。まずボディサイドの「LP-640-2」というバッジが示す通り、5.2L V型10気筒ユニットはウラカンSTOと同じ最高出力640ps、最大トルク565Nmを発生し、7速DCTを介して後輪に伝達する。

興味深いのはシャシだ。まずステアリングには、EVOが使っているLDSと呼ばれる可変ギアレシオではなく、STOと同じ固定レシオが使われる。一方でリアには、LRSと呼ばれる後輪操舵システムが組み合わされた。

LDVI(ランボルギーニ・ディナミカ・ヴェイコロ・インテグラータ)も採用された。ドライブモードに応じてフィードフォワードのロジックも用いて、このLRSやP-TCS(パフォーマンス トラクション コントロールシステム)などを統合制御する。さて、このハードウェアの組み合わせが意図したものは何か。まずドライビングモード「STRADA」で走り出す。

同じ後輪駆動モデルで比較するならば、EVO RWDの610psでも何の不足もないだけに、パワーに関して何も言うことはない。自然吸気V10ならではの精緻な回転感覚、シャープな吹け上がり、そしてリニアなパワーカーブは相変わらずうっとりさせ、そして自制心をぐらつかせる。

大型シフトパドルを用いての変速も、まさに瞬時に行われて快感を後押し。マフラー形状が変更されているためか、排気音がより硬質になった気もしないではない。

乗り心地はやや硬め。試乗車がほぼまっさらな新車の下ろしたてだったことも影響しているのかもしれないが、それでも日常使用に耐えるどころか、長距離移動だって楽しめるものであることは間違いない。

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