絶大なる安定感の高さ。Mならではのセッティング
M4のエンジン音は回転数により微妙に変化し、盛り上がりのあるレーシングカーのものに近いエキゾーストノートだ。M4の場合も、タコメーターを見なくても音でかなり正確にシフトポイントが掴める。サーキットではエンジン回転数が高いのでワインディングロードで感じた高めのギアで走行している時のターボラグのような遅れも感じない。ドライブモードをスポーツに切り替えるとバネ上の不要な揺れが収まり、挙動が落ち着いて走りやすくなった。
ターンイン時には、ハンドルが結構効いている。ハンドルを切れば切るだけどんどん曲がってくれるし、グリップが抜ける感じにならない。ターンインの後、アクセルペダルを踏み込んでいった場合でも安定感が高いのは、xDriveによる4WDだからだ。
ちなみに第1コーナー入口でのスピードは185km/hだった。エンジンパワーの強さとトラクションが強くなるxDriveの恩恵だ。
DSCをオフにして4WDスポーツの走行モードを選ぶと、アクセルオンでちょうど良い感じでリアが少しスライドしながら立ち上がっていく。4WDであってもドライバーの腕に合わせて走りを楽しむことができるのは、いかにもBMWらしいセッティングだ。
走る場面ごとで変化したそれぞれの際立つ特徴
こうやって6気筒エンジンを搭載したスポーツモデル3台を走り比べてみたわけだが、一般道、高速道路、ワインディングロード、サーキットとそれぞれの特徴が出てきておもしろかった。
一般道で正確なライントレースができて楽しかったのはM4。ワインディングロードで快適で楽しかったのはエミーラ、サーキットを走るならばケイマンという特色が出た。
この3モデルとも、次の世代になったら電動化されるであろうことは間違いない。M4はエンジンに電気モーターを付けたMHEVかもしれないが、エミーラとケイマンはBEVになってしまうと言われている。
純粋なICE(内燃機関=エンジン)を楽しむためには、いま購入を考える必要があるというのもまた事実なのである。(文:こもだきよし/写真:永元秀和、井上雅行)
ロータス エミーラV6ファーストエディション 主要諸元
●全長×全幅×全高:4413×1895×1226mm
●ホイールベース:2575mm
●車両重量:1500kg
●エンジン:V6 DOHCスーパーチャージャー
●総排気量:3456cc
●最高出力:298kW(405ps)/6800rpm
●最大トルク:420Nm/2700-6700rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:MR
●燃料・タンク容量:プレミアム・60L
●WLTPモード燃費:8.8km/L
●タイヤサイズ:前245/35R20、後295/30R20
●車両価格(税込):1573万円
BMW M4 コンペティションM xDrive クーペ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4805×1885×1395mm
●ホイールベース:2855mm
●車両重量:1790kg
●エンジン:直6 DOHCツインターボ
●総排気量:2992cc
●最高出力:375kW(510ps)/6250rpm
●最大トルク:650Nm/2750-5500rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・59L
●WLTCモード燃費:9.8km/L
●タイヤサイズ:前275/35R19、後285/30R20
●車両価格(税込):1440万円
ポルシェ 718ケイマン GTS 4.0 主要諸元
●全長×全幅×全高:4405×1801×1276mm
●ホイールベース:2475mm
●車両重量:1470kg
●エンジン:対6 DOHC
●総排気量:3995cc
●最高出力:294kW(400ps)/7000rpm
●最大トルク:430Nm/5500rpm
●トランスミッション:7速DCT(PDK)
●駆動方式:MR
●燃料・タンク容量:プレミアム・64L
●NEDCモード燃費:10.4km/L
●タイヤサイズ:前235/35R20、後265/35R20
●車両価格(税込):1273万6000円