筆者は昨年のNDロードスター購入以来、週末メインにドライブを楽しんでいるライトユーザー。今回は、マツダのファンイベント「マツダファンフェスタ2023 at FUJI SPEEDWAY」に参加し、名車787Bの「美声」や技術者たちの熱い想いに触れて感動した「体験記」をお届けします。

マツダ×トヨタ×スバル、レースで「共挑」

今回のファンフェスタには、マツダ主催イベントとしては初めてトヨタとスバルのレース責任者が参加しており、デモランのほかにもステージトークショーに登壇するなど、企業という垣根を超えて日本の自動車産業を盛り上げていこうという気概が感じられました。

画像: 左からトヨタの高橋智也さん、スバルの本井雅人さん、マツダの前田育男さん。

左からトヨタの高橋智也さん、スバルの本井雅人さん、マツダの前田育男さん。

中でも、3社とも共通してカーボンニュートラル燃料を用い、レースの世界では機密事項であるはずのレースデータも共有しているという発言が印象的でした。

これはどういうことかというと、マツダ 3は2.2Lディーゼルエンジン、トヨタ GR86はGRヤリス搭載の3気筒ターボエンジン(1.6L→1.4L化)、スバル BRZは市販モデルと同様の2.4L水平対向エンジンと各社のエンジン形式が異なります。同一の燃料でエンジンタイプごとにどのように挙動が変化するのかを互いに公開することで、自社が開発していない2種類のエンジンのデータを得ることができる画期的な取り組みなのです。

画像: マツダ3、ロードスター、GR86、BRZの走行シーン

マツダ3、ロードスター、GR86、BRZの走行シーン

もっとも、『エンジン車でのレース』を残すためにレースデータを共有する戦友とはいえ、レース自体は『ガチ』で勝負しており、負けた際には悔しさのあまり泣いてしまうほどガチで戦っているそうです。お互いに開発データを共有した上で正々堂々と戦う様子は、武士道を感じさせるアツいバトルだと思いました。

MX-30 ロータリーEVモデル開発メンバーのトークショー

続いて、11年ぶりに復活したロータリーエンジン搭載車「MX-30 Rotary-EV」の開発主査およびロータリーエンジン開発の技術者によるステージトークショーを見学。

世界唯一のロータリーエンジンメーカーゆえに、先入観を持って開発を進めると開発が遭難してしまうので、先入観を捨てて、かつ一発で決めることを意識して開発・改良を続けてきたというストーリーに、マツダのロータリー職人たちが持つ『誇りと意地』を感じ取りました。

画像: ロータリーエンジン開発の心得を語る、ロータリーエンジン技術伝承者

ロータリーエンジン開発の心得を語る、ロータリーエンジン技術伝承者

さらに、トークショーの最後には、今回のMX-30 Rotary-EVのような発電用としての復活だけでなく、駆動用のロータリーエンジンを諦めず引き続き開発を続けるという発言には、会場からも大きな拍手が上がります。

ロータリーエンジンを体験したことがない筆者でも、マツダの『駆動用ロータリーエンジン復活』を願いたくなる、素晴らしいトークショーでした。

画像: ステージ横に展示された「MX-30 Rotary-EV」

ステージ横に展示された「MX-30 Rotary-EV」

ちなみに、会場横スペースにはMX-30 Rotary-EVの実車が展示されていたのですが、ひっきりなしに人が訪れる人気の展示となっているようで、夕方、写真撮影で訪れた際にはボディが指紋だらけで汚れており、注目度が高いことがうかがえました。

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