最大のアピールポイントは斬新なスタイリング
ジューク開発の発端は、ティーダ級のコンパクトスポーツカーだったとか。紆余曲折を経て、SUVとのクロスオーバー車として生を受けることになったが、初志はデザインとその走りにしっかりと受け継がれている。
日産の2010年新車攻勢の第一弾、ジューク。その最大のアピールポイントは斬新なスタイリングだ。2009年のジュネーブショーでプレミアされたコンセプトカー「カザーナ」をそっくり95%縮小コピーしたかのようなアグレッシブなエクステリアは、「縮小した」とはいえ抑揚が強調されたフェンダーのおかげで存在感十分。大型フォグランプ風に見えるヘッドライトからエアインテーク一体のアンダーガードまで、ボディの下半分はSUVテイストが満載だ。
一方、ヘッドライトに見えて実はターン&ポジショニングのコンビランプから、フロントガラス、ルーフ、バックドアにかけての車体上部のスタイルは、リアドアハンドルをピラーにビルトインさせていることもあって2ドアスポーツクーペの趣き。室内に目を移しても、コクピットのタイト感、バイクをイメージしたというセンターコンソールやホールド性の高いフロントシートなどにスポーツのDNAが漲る。
スポーツ志向をより強く訴えてくるハンドリング
走らせてみると、日産の開発陣の意図はさらに鮮明になった。
パワートレーンは、1.5LのHR15DEユニット(114ps)+エクストロニックCVT。もはや最新とは言えないコンビネーションだが、このジュークからの新技術として、エンジンにはデュアルインジェクターを新採用、CVTも副変速機を加えて大幅にアップデートされており、1.5Lのクルマとは思えない上質な発進加速を見せる。
とはいえ、これらはどちらかと言えばパフォーマンスより、燃費向上を狙ったアイテム。スポーツ志向をより強く訴えてくるのは、ハンドリングだ。
ステアリング操作にリニアに反応し、狙ったラインをピタリとトレースする動きは、SUVとのクロスオーバーの域をはるかに超えるもの。高いアイポイントから想像しがちな腰高でもっさりとした挙動は皆無といっていい。試乗車はオプションの215/55R17タイヤを履いていた(標準は205/60R16)が、コンパクトなボディからすれば大径のワイドタイヤからの入力を、サスペンションは軽々といなしていく。
先代マーチ、ノートなどと同じBプラットフォームを使うジュークだが、軽量化とともにトレッドをワイド化。フロントサスペンションには井桁型サブフレームを追加し、リアサスペンションにもひとクラス上のCプラットフォームと同形式のトーションビームを奢っている。ボディと足まわりにコストをかけたことで、驚くほど俊敏なシャシを手に入れたのだ。