日常使用に十分に耐える快適性も残されている
12時位置にイエローのマークが入ったステアリングホイールの操舵フィールは、センター付近ではやや抵抗感があるが、切り込んで行くとスムーズでダイレクト、フィードバックも確かでタイヤと路面の状況が手に伝わってくる。
基本的には1996年の誕生以来の前後ストラットのシャシだが、車高は30mm低められ、同時に2017年にGT3 RSのフロントアクスルを移植、さらに標準装備でPASM、メカニカルリミテッドスリップデフ、トルクベクタリングなどのモダンな制御システムが加わった結果、スポーティで敏捷な上にスタビリティも高いハンドリングが道路状況を問わず楽しめる。
ここまで書くとスパイダーRSはガチガチのオンロードレーサーかと思われるかもしれないが、やや低められたスプリング/ダンパーレートによって日常使用に十分に耐える快適性も残されている。
この718スパイダーRSはポルシェ最後のICE搭載の量産モデルとなるが、間違いなく歴代最高のパフォーマンスを持ったオープンスポーツカーだった。しかも限定生産ではなく、需要がある限り販売を続けていくと発表されている。
それでもこの価格ゆえに総販売台数は限られるはずで、すでにコレクターズアイテムの最有力候補としての名が挙がっている。(文:木村好宏/写真:キムラ・オフィス)
ポルシェ 718スパイダーRS主要諸元
●全長×全幅×全高:4418×1822×1252mm
●ホイールベース:2482mm
●車両重量:1485kg
●エンジン:対6DOHC
●総排気量:3996cc
●最高出力:368kW(500ps)/8400rpm
●最大トルク:450Nm/6750rpm
●トランスミッション:7速PDK
●駆動方式:MR
●WLTPモード燃費:7.7km/L
●タイヤサイズ:前245/35R20、後295/30R20
●車両価格(税込):2024万円