スポーツドライビング性能を高める4WDシステム
グレカーレは新世代マセラティのブランドエントリーモデルとして、そしてレヴァンテよりひと回り小さな体躯を活かした機動力の高いSUVとして企画された。ちなみにこれまでその任を担っていたギブリはクアトロポルテと一本化され、フラッグシップサルーンを1車種とするというのがマセラティが描く未来図となる。
日本で展開するグレカーレのラインナップは3グレードとなる。標準的な立ち位置となる「GT」は2L 4気筒ターボを基に電動コンプレッサーを組み合わせ、さらに48VのBSGによって低〜中回転域のトルクを補うマイルドハイブリッドで、そのエンジン本体の側のパフォーマンスをさらに高めたのが「モデナ」だ。
そしてグレカーレのフラッグシップ的な位置づけとなるのがこの「トロフェオ」となる。ちなみに欧州では2023年6月にBEVの「フォルゴーレ」が発表されており、パワートレーンのアプローチは異なれど見方を変えればこちらもフラッグシップ的な位置づけと見ることができるだろう。
グレカーレのプラットフォームは同じグループのアルファロメオが採用するジョルジオプラットフォームを基に、独自のエンジニアリングを加えたものを用いている。足まわりはフロントがダブルウイッシュボーン、リアがマルチリンクとなり、GTとモデナはコイルサスペンション、トロフェオはエアサスペンションが標準となる。
四輪駆動システムは多板クラッチのカップリングを電子制御でコントロールする今日的な仕組みだが、その制御ロジックが基本的に100%の後輪駆動を前提としていることが特徴的といえるだろう。必要に応じて最大50%までを前軸側に配分するその味付けは、もちろんオンロードでのスポーツドライビング時の回頭性を重視したものだが、ドライブモードによっては低ミュー時のグリップ力を重視した側へと基本設定を変更することもできる。
外寸的にはポルシェ マカンやアルファロメオ ステルヴィオといったDセグメント級SUVよりも若干大きめとなるグレカーレだが、相応の利はパッケージングにもたらされており、たとえば荷室容量はトロフェオで570Lとそれらを軽く上回り、メルセデス・ベンツGLCやBMW X3といったあたりにほど近い。
また、外形からは想像できないほど室内形状はプレーンで、後席に座っても足元の余裕はもとより、膝まわりや腰まわりの角度や高さ、側頭部の間の取り方なども適切と、兄貴分のレヴァンテよりむしろ快適度は高いと思う。
コクピットまわりはレヴァンテに対すれば一気にデジタル化が進められており、12.3インチのメーターパネルも含めたすべてのインフォメーションは液晶パネルで表示される。センター部にも上下二段構えのディスプレイを装備する。