高性能SUVというとハイパワーで大きな車体をグイグイと速度に乗せていく・・・そんなイメージがあるかもしれない。だが、なかにはパワーとトルクは過剰ではなく適度に、一方でとことん軽量化にこだわってとても気持ちの良い走りとハンドリングを味わわせてくれる、そんなモデルもあるのだ。このマカンTのように。(Motor Magazine 2023年11月号より)

アクセサリーだけでなく走行関連の装備も充実

「クルマは軽いが絶対正義」、よく使われる言葉だが、今回もまたそれを痛感することになった。

画像: 試乗車にはオプションのエアサスペンションが装備されていたため、走行シーンに合わせて任意に車高を調整することができる。

試乗車にはオプションのエアサスペンションが装備されていたため、走行シーンに合わせて任意に車高を調整することができる。

ポルシェの<T>モデルは軽量化モデルだと、なんとなくそう認識されていると思う。何を隠そう、私もかつてはそう思っていたし、あながちそれは間違いではない。

正確に言うとポルシェの<T>モデルは、<Touring>の頭文字を取ったもので、1968年登場の911Tから使われており、特別なスポーティーモデルとして位置づけられているのだ。特徴としては、的確なチューニング、エクスクルーシブな装備、スリムなエンジンということで、ポルシェの4枚ドア車で初のTモデル<マカンT>では、エンジンはベーシックなマカンと同じ2L直4ターボエンジンが搭載されている。

ちなみにこのエンジンはマカンSやGTSに搭載されているV6エンジン搭載車と比較すると、フロントアクスル直上の重量で58.8kgも軽い。車両重量は全体で95kgも軽くなるとされている。

では同じエンジンが搭載された、ベーシックマカンと比べるとどれほど差があるのか?と思い、いろいろ調べたのだが、Tモデルには最初から特別に装備されているものが多く、単純な重量比較はできなかった。

たとえば、エクステリアに施された、アゲートグレーメタリック塗装でアクセントを付け加える多数のエレメント、ハイグロスブラックのスポーツテールパイプとサイドウインドウトリム。インテリアでは、ブラックレザーパッケージをベースにした専用インテリア、こちらは8ウェイ電動調節式スポーツシートで、前席にはシートヒーターも装備されている。

20kg重くなっているが、乗ったフィーリングは間違いなく軽かった

さらには、スポーツクロノパッケージ用モードスイッチを含むマルチファンクションGTスポーツステアリングホイールも標準装備と、すべてをここに記しきれないが、かなり装備が充実したモデルとなっているのだ。これまでお買い得といえばGTSという認識だったが、実はTもしかりなのだ。

画像: 試乗車の内装色は、標準仕様のブラックを基調としたシックなものだった。

試乗車の内装色は、標準仕様のブラックを基調としたシックなものだった。

というのも、<素>のポルシェは驚くほど何も装着されておらず、快適に乗ろうと思うと、オプション価格が簡単に200~300万円に到達してしまったりするものなので、最初からこれだけ標準装備で付いているのは、実はありがたい話なのだ。

このように装備が充実していることもあって、実際の重さの差は逆にTの方がベーシックグレードよりもカタログ値で20kg重くなっているが、乗ったフィーリングは間違いなく軽かった。その理由はズバリ、足まわりの設定にある。

マカンTの標準仕様には、ベースグレード比ー15mmの低車高設定とPASMと呼ばれるアクティブサスペンションマネジメントを含む、スチールサスペンションを装備する。

また今回の試乗車にはオプションで、さらに10mmの低車高設定が可能なエアサスペンションが装備されていた。こちら、ドライビングモードでスポーツプラスモードを選択すると、標準仕様比で10mm下がる。

ちなみにこの組み合わせはマカンTだけで、シャシのチューニングはもちろん、フロントアクスルとリアアクスルに高剛性のスタビライザーも採用されている。加えて足元には、Sモデルから引き継がれた20インチアルミホイールを、T専用にダークチタンで仕上げられたものを装着するなど、足回りの装備にはかなりの違いがあるのだ。

さらに、トラクションマネジメントも変更が加えられており、とくに後輪に駆動配分が多く配分されるような設定とされ、トルクベクタリングも調整が図られている。これらの総合力により、走り出した瞬間に間違いなく<軽さ>として伝わってくる。

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