アクセサリーだけでなく走行関連の装備も充実
「クルマは軽いが絶対正義」、よく使われる言葉だが、今回もまたそれを痛感することになった。
ポルシェの<T>モデルは軽量化モデルだと、なんとなくそう認識されていると思う。何を隠そう、私もかつてはそう思っていたし、あながちそれは間違いではない。
正確に言うとポルシェの<T>モデルは、<Touring>の頭文字を取ったもので、1968年登場の911Tから使われており、特別なスポーティーモデルとして位置づけられているのだ。特徴としては、的確なチューニング、エクスクルーシブな装備、スリムなエンジンということで、ポルシェの4枚ドア車で初のTモデル<マカンT>では、エンジンはベーシックなマカンと同じ2L直4ターボエンジンが搭載されている。
ちなみにこのエンジンはマカンSやGTSに搭載されているV6エンジン搭載車と比較すると、フロントアクスル直上の重量で58.8kgも軽い。車両重量は全体で95kgも軽くなるとされている。
では同じエンジンが搭載された、ベーシックマカンと比べるとどれほど差があるのか?と思い、いろいろ調べたのだが、Tモデルには最初から特別に装備されているものが多く、単純な重量比較はできなかった。
たとえば、エクステリアに施された、アゲートグレーメタリック塗装でアクセントを付け加える多数のエレメント、ハイグロスブラックのスポーツテールパイプとサイドウインドウトリム。インテリアでは、ブラックレザーパッケージをベースにした専用インテリア、こちらは8ウェイ電動調節式スポーツシートで、前席にはシートヒーターも装備されている。
20kg重くなっているが、乗ったフィーリングは間違いなく軽かった
さらには、スポーツクロノパッケージ用モードスイッチを含むマルチファンクションGTスポーツステアリングホイールも標準装備と、すべてをここに記しきれないが、かなり装備が充実したモデルとなっているのだ。これまでお買い得といえばGTSという認識だったが、実はTもしかりなのだ。
というのも、<素>のポルシェは驚くほど何も装着されておらず、快適に乗ろうと思うと、オプション価格が簡単に200~300万円に到達してしまったりするものなので、最初からこれだけ標準装備で付いているのは、実はありがたい話なのだ。
このように装備が充実していることもあって、実際の重さの差は逆にTの方がベーシックグレードよりもカタログ値で20kg重くなっているが、乗ったフィーリングは間違いなく軽かった。その理由はズバリ、足まわりの設定にある。
マカンTの標準仕様には、ベースグレード比ー15mmの低車高設定とPASMと呼ばれるアクティブサスペンションマネジメントを含む、スチールサスペンションを装備する。
また今回の試乗車にはオプションで、さらに10mmの低車高設定が可能なエアサスペンションが装備されていた。こちら、ドライビングモードでスポーツプラスモードを選択すると、標準仕様比で10mm下がる。
ちなみにこの組み合わせはマカンTだけで、シャシのチューニングはもちろん、フロントアクスルとリアアクスルに高剛性のスタビライザーも採用されている。加えて足元には、Sモデルから引き継がれた20インチアルミホイールを、T専用にダークチタンで仕上げられたものを装着するなど、足回りの装備にはかなりの違いがあるのだ。
さらに、トラクションマネジメントも変更が加えられており、とくに後輪に駆動配分が多く配分されるような設定とされ、トルクベクタリングも調整が図られている。これらの総合力により、走り出した瞬間に間違いなく<軽さ>として伝わってくる。