ポルシェタイカンに続くBEVの第2弾となるのがフルエレクトリックSUVの新型マカンである。そのトップモデルはデュアルモーターを搭載し、612ps/1000Nmを発生する。アメリカ西海岸で行われたマカン EVの開発最終テストでプロトタイプを試乗した。(Motor Magazine2023年12月号より)

ポルシェの人気SUVがBEV化

宿泊したホテルの地下ガレージの隅でカバーされていたマカンはカムフラージュを施されているが、そのシルエットは現行マカンとほとんど変わらない。ヘッドライトのデザインがタイカン風になっていること、そしてわずかにホイールベースが延長されており、ボディの後半部分が現行マカンよりもなだらかに傾斜しているのがわかる。

画像: 新型マカンを真横から見ると、現行型よりもリアに向かって傾斜したクーペスタイルであることがわかる。

新型マカンを真横から見ると、現行型よりもリアに向かって傾斜したクーペスタイルであることがわかる。

試乗したのはターボと呼ばれるはずのトップモデル。前後のモーターによるシステム出力は450kW、最大トルクは1000Nmを発生する。ダイナミックパフォーマンスは0→100km/hが4秒、最高速度は250km/hとなる。搭載される電池ユニットの容量はおよそ100kWhで、航続距離は約500kmとなる。

タイカンと違ってシングルスピードギアを装備したデュアルモーターの走りは典型的なスポーツBEVで、アクセルペダルの動きに敏感に反応し、並んで走るV8搭載のピックアップトラックを後方に追いやってロサンゼルスの市街地を抜ける。この豪快な加速に伴って人工サウンドが響くが、タイカンよりもやや低めである。

画像: リアもカムフラージュされているが、テールランプの光を見るとおそらく横一文字のデザインになるだろう。

リアもカムフラージュされているが、テールランプの光を見るとおそらく横一文字のデザインになるだろう。

また、強力な制動力を生じさせる回生システムによってアクセルペダルはほとんど普通のブレーキのように使える。

さらに2トンを軽く超えるヘビー級ボディにもかかわらず、ステアリングは他のポルシェと同じように正確無比、しかも路面からのフィードバックは確かで、6度の舵角を持った後輪操舵、床下に搭載されたバッテリーによる低重心の助けもあって、郊外の山間路では背の高いSUVとは思えないスポーティなフットワークを見せる。

さらにこのターボに標準装備されるはずの2チャンバーエアサスペンションは、ロールを抑えたハンドリングと同時に、もはや量産レベルと言えるほどの素晴らしい乗り心地も提供する。

ちなみにこれだけの魅力を備えたエレクトリックマカンのドイツ価格は、予想ではベースモデルがおよそ7万ユーロ(約1110万円)からと言われている。日本での正確な発売時期や価格の発表は、この原稿を書いている10月中旬ではまだ行われていない。(文:木村好宏/写真:キムラ・オフィス)

This article is a sponsored article by
''.