クラストップレベルの積載性、快適で広々としたリアシート
アクティブに使いこなすのが似合うSUVらしく、ラゲッジルームの積載性も抜群だ。トランク容量はクラストップレベルの458Lを実現。通常時でスーツケースを4個タテに積んだり、ゴルフバッグを2個ヨコに積むことが可能だ。さらに床下収納やコンビニフックも備えており、用途に応じた使い勝手を実現している。
リアシートは60:40の分割可倒式なのだが、実はこれヴェゼルのようなダイブダウン機構ではなく倒してもシート段差があってフラットにならない。けれどこれは、WR-Vが後席の居住空間を特に優先した結果だという。
というのもこのクルマ、とにかくリアシートの座り心地にこだわっている。実際に座ってみるとサイズも大きく、クッションにとても厚みがある。ホイールベースを長く確保しているため足元空間も広い。
なぜこれほど後席にこだわっているのか、それには理由があった。
開発の拠点となったインドでは、自家用車を週末に利用する際に運転手を雇ってオーナーはリアシートでくつろぎながら移動する、というニーズが多いそう。したがって、このWR-V(インドではエレベイト)を購入してリアシートを利用する頻度が高い人のために、居住性にこだわったのだ。
しかし同時に日本においても、コンパクトSUVセグメントにおける多人数乗車が多いそう。休日は友人を乗せてドライブにでかけたり、子育てを終えた世代が孫を後ろに乗せるなど、ニーズはたくさんある。
すなわち日本とインドで異なるニーズの中で生まれた共通点「後席空間への配慮」というものがWR-Vの開発で重要だったのだ。そしてその具現化は実車を確認した結果、確実なものだった。
コストパフォーマンスが魅力のコンパクトSUVは日本で売れること間違いなし
ホンダの独自調査によると、過去10年間でSUV市場のセグメントシェアは4倍に成長したという。また他のボディタイプからSUVへの買い替え意向の高まりも年々増加している。
したがってホンダはZR-V、ヴェゼルでは補うことができない「250万円以下の市場」へWR-Vを投入することで、大人気のSUVマーケットでのさらなるシェア拡大を狙っている。
今回実車を目の当たりにして、その商品力の高さ、すなわち「コスパの良さ」というものを存分に感じることができた。自動車の価格が軒並み上がっているなかで、装備が充実したコンパクトSUVを200万円前半で手に入れられるというのはむしろ貴重といえるだろう。
近頃の、ハイブリッドグレードを選択しないと上級装備が付けられないといった通説は、WR-Vには通用しない。安いけど安っぽくない仕上がり、これは間違いなく売れるだろうなと強く感じた。
さらに今回は、詳しいWR-Vの車両解説動画をモーターマガジンMovieで公開中なので、ぜひチェックしてほしい。