この連載では、昭和30年~55年(1955年〜1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第19回目は、ダイハツ初の乗用車となるコンパーノ ベルリーナの登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より)

国内最古参のエンジンメーカーが乗用車に進出

三輪/四輪の商用車メーカーとして基盤を築いたダイハツは、昭和38(1963)年5月、コンパーノ(バン/ワゴン)で乗用車市場への参入を果たす。デザインを担当したのはカロッツェリア・ヴィニヤーレで、イタリアンルックでまとめたディテールの美しさは群を抜いていた。

画像: バン/ワゴンのボディをベースに自社でセダン化したコンパーノ。昭和40年5月には998㏄エンジンを搭載するコンパーノ1000(写真)を追加している。

バン/ワゴンのボディをベースに自社でセダン化したコンパーノ。昭和40年5月には998㏄エンジンを搭載するコンパーノ1000(写真)を追加している。

さらに乗用車市場参入の基盤強化を目指すダイハツは、これをベースに自社デザイナーの手でボディ後半部をノッチバックセダンに変更した「コンパーノ ベルリーナ」を開発。昭和38(1963)年の第10回東京モーターショーで初公開した。翌39(1964)年2月の発売が公表され、大きな反響を呼ぶ。

堅実なダイハツらしく、すでにモノコックが主流だった時代に実績のあるラダーフレームを採用した。ベースがバンだったこともあるが、軽量化が重要な要素となる小型車としては珍しい選択と言えた。

前部に直4エンジンを置き、4速MTを介して後輪を駆動するFRという駆動方式も、前:ダブルウイッシュボーン、後:リーフ・リジッドのサスペンションも、当時としてはごく標準的なものだった。

画像: インテリアは意外にもスポーティだった。インパネも当時としては機能美溢れるもの。国産車初のフルシンクロ4速MTを搭載し、オプションでフロアシフトも選択可能だった。

インテリアは意外にもスポーティだった。インパネも当時としては機能美溢れるもの。国産車初のフルシンクロ4速MTを搭載し、オプションでフロアシフトも選択可能だった。

一方、国産初のフルシンクロの4速MTを標準装備したことは注目したい。コラムシフトが基本だが、ミッションハウジングの後部にダイレクトシフト用の穴を設けて、オプションのフロアシフトに容易に変更できるようになっていた。

エンジンは5000rpmで41psを発生する797ccの直4OHV。最高速度は110km/h(カタログ値)と公称したが、加速性能は755kgの車重がネックとなり当時の一般的なレベルに留まった。

ダイハツ・コンパーノ ベルリーナ デラックス(1964・F40型)諸元

●全長×全幅×全高:3800×1445×1410mm
●ホイールベース:2220mm
●車両重量:755kg
●エンジン型式・種類:FC型・直6OHV
●排気量:1988cc
●最高出力:41ps/5000rpm
●最大トルク:6.5kgm/3600rpm
●トランスミッション:4速MT
●タイヤサイズ:5.20-12 2P
●新車価格:57万8000円

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