この連載では、昭和30年~55年(1955年〜1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第23回目は、ホンダのミニスポーツカーとして話題を呼んだ、S500の発展形となるS600の登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より)

オートバイ並みにきわめて高回転型

当時の自動車エンスージアストの期待も大きく、ホンダが最終価格を決定するための懸賞をかけた際、その応募総数が570万通に達したことでも伺える。ひとり何通でも応募できたとしてもそれはすごい数だ。そして最終的に決まった価格も45万9000円と破格の安さだった。

画像: AS285E型エンジンは当時の最先端の直4DOHCを採用。57psを8000rpmという回転域で発生するのはまさにレーシングエンジンだ。 F1グランプリ参戦のイメージと合わせてS600を特別な存在にした。

AS285E型エンジンは当時の最先端の直4DOHCを採用。57psを8000rpmという回転域で発生するのはまさにレーシングエンジンだ。 F1グランプリ参戦のイメージと合わせてS600を特別な存在にした。

このミニスポーツの人気は最初から上々だった。ホンダS500のエンジンは531cc直4DOHCで気筒あたり1個の気化器がつき、出力は44ps/8000rpm (レッドゾーンは9500rpm)とオートバイ並みにきわめて高回転で、最大トルク4.5kgm/4500rpmを発生した。

このS500の最大の特徴は、2本の縦方向にスイングするトレーリングアーム(というよりは油浸=オイルバスのチェーン入りのアルミケース)とコイルスプリングによる後輪の独立懸架だが、後部に関する限り、2台のオートバイを平行に並べたのと同じレイアウトになっていた。

S500のパワー不足を補うた め 昭 和39(1964)年3月、S600(606cc、 57ps/8500rpm)が登場した。最高速はS500の135km/hから145km/hへとアップ、0→400m加速も18秒台後半と十分な実用性能に達し、その人気は確定的なものとなった。

ホンダ・S600(1964・AS285型)諸元

●全長×全幅×全高:3300×1400×1200mm
●ホイールベース:2000mm
●車両重量:695g
●エンジン型式・種類:AS285E型・直4DOHC
●排気量:606cc
●最高出力:57ps/8500rpm
●最大トルク:5.2kgm/5500rpm
●トランスミッション:4速MT)
●タイヤサイズ:5.20-13 4PR
●新車価格:50万9000円

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