誰がその姿を見てもそれとわかるデザインアイデンティティを持つクルマはそう多くないが、Gクラスは例外である。さらに日本ではその特別感から異例の大ヒットを記録しており東京では見ない日はない。そんなGクラスのフェイスリフト版に早くも触れることができた。(Motor Magazine 2024年1月号より)

新しいG63はオフロード性能だけでなくオンロードも大きく進化

テストコースに現れた試乗車は全身にカムフラージュが施されていたが、半世紀近く経過した2ボックスの角ばったエクステリアデザインには大きな変化は見られなかった。ただしフロントグリルおよびヘッドライト周辺にはカムフラージュの厚化粧が施されており、このあたりにリファインメントが行われているようだ。同行した開発エンジニアも空力特性の向上が図られていると告白している。

画像: 街中で見かけることも多いGクラスだが、こうした道なき道を進む姿こそGクラスの本領が発揮されると言えるだろう。

街中で見かけることも多いGクラスだが、こうした道なき道を進む姿こそGクラスの本領が発揮されると言えるだろう。

Gクラスを象徴するドアグリップのオープナーボタンを押して助手席に乗り込むと、続いて目前に伝統の横一文字のアシストグリップが目に入る。しかしドライバー正面からの景色は一変しており、Sクラスから移植された大きな2枚のデジタルスクリーン、そしてマルチファンクションステアリングホイールが並び、MBUXインフォテインメントは音声入力も加わるなど大きく進化している。一方、振り返るとリアコンパートメントは明らかに居住性が改善され、リアシートのバックレストが分割式になるなど利便性も向上している。ちなみにインテリアの撮影は残念ながら許されなかった。

ところで、もっとも大きな変化はボンネットの下に見られる。すべてのエンジンには48Vのマイルドハイブリッドが装備され、V8エンジンは今回テストしたメルセデスAMGが手がけるG63専用となった。というのもV8をオーダーするオーナーのほとんどがAMGモデルを選択しているというからだ。

正確な数値は未発表だが、登坂路で体感した力強さから想像するに低速トルクの改善を含め若干のパワーアップは行われているはずだ。さらにオフロード走行で感銘したのは、新たにオプションで採用される油圧制御のダンパーを持ったアクティブライドコントロールである。

この最新のシャシによって各車輪のグリップと、トラクションが劇的に向上している。一方、アウトバーンでのクルージングはフラットで快適な乗り心地を提供している。フェイスリフト版のニューGクラスは、オフロードとオンロードでのパフォーマンスがどちらも高いレベルへ進化したのを感じた。

来年の夏以降には今回テストしたICE搭載のニューG63とBEVのEQGの両方がショールームに並ぶことになるが、オーナーにとっては非常に難しい選択を迫られることになりそうだ。
(文:木村好宏/写真:キムラ・オフィス)

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