クルマは長く乗れば乗るほど見えてくるものがある。今回はMotor Magazine誌で掲載した長期レポート「ホンダZR-V」を紹介していこう。ZR-Vには1.5L直4ターボを搭載するガソリンエンジンモデルとe:HEVと呼ばれるハイブリッドモデル、そしてそれぞれにFFと4WDが用意される。ZR-Vの4モデルを1カ月ごとに1台ずつ試乗し、その乗り味や魅力を確認した。その第1回はe:HEV Z(FF)を贈る。(Motor Magazine 2023年9月号より)

満タン時のメーターに表示された航続距離は1000km超!

画像: e:HEVはエンジンの方が効率良く走れる。高速道路の巡航時などはエンジンとホイールを直結して駆動する仕組み。

e:HEVはエンジンの方が効率良く走れる。高速道路の巡航時などはエンジンとホイールを直結して駆動する仕組み。

シビックと共通項が多いことから、その乗り味も近いのでは?と思っていたが、走り出してみたら印象はまったく違った。e:HEVならではの電動感の強さやスムーズな走りは近いが、シビックよりもひとクラス上のような印象を受けた。そのひとつはモーター走行時の静粛性の高さで、もうひとつはサスペンションストロークの長さによる乗り心地の良さ。

それはSUVだから当然じゃないの?と思うかもしれないが、それでいてコーナリング時の動きは意外なほどスポーティだった。基本的にあまりロールせず、フラットな姿勢を保ったまま曲がってくれる。全高が1620mmとSUVにしては比較的低めなこともあるが、最低地上高や重心はシビックよりも高いはずだが、コーナーが楽しいクルマである。

今回さまざまなシュチエーションで使用しながら気づいたのだが、特筆すべき点は長距離ドライブにあった。満タン時のメーターに表示された航続距離は1000kmを越えていた。つまり、東京−大阪間往復を無給油で走破できてしまうのだ(ちなみにシビックのe:HEVは800km前後だった)。これは燃費&燃料タンク容量の問題だが、長距離移動が多い人間にとってはとても魅力。

画像: パワーフローメーターを表示すれば、モーター走行、直結、バッテリー充電、回生などの走行状況がわかる。

パワーフローメーターを表示すれば、モーター走行、直結、バッテリー充電、回生などの走行状況がわかる。

このレポート期間も大阪で行われた「EV&SDGsフェア」のために東京大阪往復や取材の機材車として何度も長距離移動の機会があり、その度にe:HEVモデルの快適さを味わっている。

今回は後席に座って移動する機会もあったので、その印象もレポートしたい。いつも子供と一緒に後席に座る妻から「後ろのシート快適だよ」と聞いていたので、実際に座ってみることにした。座ってみると身長180cmと大柄な筆者が座っても足元や頭上の空間スペースが広く、座り心地も良好だった。リアシート用にエアコン吹き出し口やUSBジャック(2個)があるのもうれしい。

余談だが、Zに標準装備されるBOSEの音響はデフォルトでは前席より後席の方が聴こえ方が良かった(これはオーディオ側の設定である程度調整できるはず)。

e:HEVの走りの良さはシビックのテストでも実感していたつもりだが、SUVとの相性は抜群。ロングドライブが得意で走りが楽しいSUVを探している人にZR-Vのe:HEV Zはうってつけの一台である。

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