日本でのID.シリーズは現状ID.4のみだが、本国ではID.3から順にラインナップを拡大している。その中でもっとも上級なモデルとなるのが全長5m近くに迫る大型5ドアセダンのID.7である。その走りは意外なほど軽快で、かつフォルクスワーゲンらしい味わいだった。(モーターマガジン2024年2月号より)

いかにもフォルクスワーゲンらしいBEVに初めて出会った

いよいよスタート! といつものようにスタートボタンを探すが、見当たらない。実はID.7は運転席に座ってシートベルトをロックするとすでにスタンバイとなり、あとはコラムから伸びたドライブセレクターの先端を前方に回してDポジションにするだけだ。

画像: ギアセレクターはコラム式で奥にひねるとドライブ、手前に回すとリバースに入るタイプで、ID.4と勝手は同じだ。

ギアセレクターはコラム式で奥にひねるとドライブ、手前に回すとリバースに入るタイプで、ID.4と勝手は同じだ。

走り出してすぐに気がついたのは全長5mに近いサイズにもかかわらず小回りがよく利くということだ。スペック上の最小回転直径は10.9mと、ほぼ同じサイズのBMW i5が12.3m、メルセデス・ベンツ EQEが12.5mであることを考えると驚くべき性能である。

これはID.7がRWDであることから、舵角をとるスペースを多く確保することができるためだ。また路面情報を正しくフィードバックするステアフィールによってワインディングロードではまるでミドルクラスのスポーツセダンのように軽快なハンドリングを見せた。一方、高速道路では長いホイールベースのおかげで快適かつ上質な乗り心地を提供してくれた。

画像: フロントデザイン同様、横一文字に光るLEDテールランプはライトオフの状態でクリアになる先進的な意匠が特徴である。

フロントデザイン同様、横一文字に光るLEDテールランプはライトオフの状態でクリアになる先進的な意匠が特徴である。

ID.7の価格はドイツでは5万6995ユーロ(約935万円)と決して安くはない。だだし、完成度が高いうえ長く付き合えそうな、まさにBEVのパサートのような、いかにもフォルクスワーゲンの品質と使いやすさを持った初めてのBEVであると感じた。

将来的には86kWhの大容量バッテリーを搭載するグレード「プロS」や同社のBEV初となるワゴンバージョン「ツアラー」も登場する予定でこちらも楽しみである。(文:木村好宏/写真:キムラ・オフィス)

■フォルクスワーゲン ID.7 プロ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4961×1862×1520mm
●ホイールベース:2971mm
●車両重量:2172kg
●種類:交流同期電動機
●最高出力:210kW(286ps) 
●最大トルク:545Nm(55.6kgm)
●駆動用電池種類:リチウムイオン
●総電圧:350V
●総電力量:77kWh
●一充電走行距離(WLTPモード):621km
●交流電力量消費率(WLTPモード):142Wh/km
●最高速度:180km/h
●0→100km/h加速:6.5sec
●駆動方式:RWD
※EU準拠

This article is a sponsored article by
''.