空力特性に優れたボディや駆動系の効率を向上
2019年にフォルクスワーゲンがID.3を登場させてから間もなく5年目を迎える。打倒テスラを目標に、電動化に向けて440億ユーロ(およそ5兆8千億円)もの投資を行い、これまでに7機種のID.シリーズを市場に送り込んだが、世界市場ではもちろんお膝元のドイツでもテスラが相変わらず大きな存在感を示している。1月から11月の販売台数を見てもモデルYとモデル3を合わせて計5万2319台、一方フォルクスワーゲンはID.3、4、5を合わせても計3万4077台と大差をつけられている。
今回登場したID.7はこうしたテスラへの対抗馬で、これまでのID.シリーズの頂点に立つ、力の入ったモデルである。ボディサイズは全長4961×全幅1862×全高1520mm、ホイールベース2971mmの5ドアハッチバックセダンでID.シリーズ中ではもっとも大きく、BMW i5やメルセデス・ベンツ EQEに匹敵する大きさとなる。
今回試乗したグレード「プロ」は後輪駆動(RWD)で最高出力286ps、最大トルク545Nm、車両重量2172kgである。また床下に搭載されるバッテリーの容量は77kWhで航続距離は最大で621kmに達する。この長さを達成した理由のひとつにCd値0.23と空力特性に優れたボディや駆動系の効率向上が上げられる。
エクステリアデザインは横長のヘッドライトやフロントエンドを横切るLEDライトにより、ひと目でID.ファミリーであることがわかる。だがID.3に比べると全長は7cm長いためスタイリッシュで、落ち着いたアッパーミドルクラスの雰囲気を漂わせている。
インテリアは運転席正面に情報を見やすく表示したデジタルディスプレイ、ダッシュボード中央に15インチのインフォテインメントタッチパネルがレイアウトされている。パネル操作は直感的で素早い操作が可能になったり、ARヘッドアップディスプレイが用意されるなど明らかにこれまでのID.シリーズよりもワンランク上の装備が用意されている。さらにエアコンシステムは快適性への配慮が行き届いており、かつての最上級セダン“フェートン”のようにパッセンジャーの顔に風が直接当たらないようになっている。