この連載では、昭和30年~55年(1955年〜1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第28回目は、流麗なクーペスタイルが印象的だった初代日産シルビアの登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より)

トルク特性が素直で回転の伸びも良好

4速手動ギアボックスは、ポルシェタイプのボークリング・フルシンクロ式である。クラッチもコイルスプリングから、ダイヤフラムスプリングに代えて強化をはかり、フェーシング表面積も拡大されている。

画像: ほとんど手作業のボディと同様、インテリアも手間がかかっている。ウッドの3本スポークステアリングはこの頃のスポーツカーの定番だ。インパネも機能美溢れる。

ほとんど手作業のボディと同様、インテリアも手間がかかっている。ウッドの3本スポークステアリングはこの頃のスポーツカーの定番だ。インパネも機能美溢れる。

スタイリッシュな2シータークーペゆえにあまりスポーツカー的イメージはないが、実際の動力性能は確かなものがあった。SUツインキャブ(日立製)の1.6 Lは基本的にフェアレディ1600と同じで、トルク特性が素直で伸びも良かった。

シャシはSP310(後にSP311)とほぼ同一のX字補強メンバー付きのラダータイプで、前輪はダブルウィッシュボーン/コイル独立懸架、後輪はリジッド・アクスル/半楕円リーフ・スプリングの組み合わせと常識的なレイアウトとなっている。前輪には、ダンロップのMKII型ディスクブレーキが装着された。車内はとにかく快適性が高かった。シートの仕立てもきちっとしていたし、操作系のレイアウトが整理されていた。

車両価格は発表当時でも120万円と、SP311 (1600)が88.6万円、セドリック・スペシャル6(ベースモデル)が115万円であることを考えると、かなり高価なモデルだった。 当時世界のスポーツGTカーが2+2座モデルを競って発表しているとき(ジャガーEタイプ、MGBなど)、2座のシルビアはやや性格があいまいなクルマという評価もあり、結局その総生産台数は554台にとどまった。

画像: 走りを支えるタイヤは14インチのバイアス構造のタイヤ。 4プライ(カーカスコード4枚重ね)という当時の乗用車としては一般的な作りとなっている。

走りを支えるタイヤは14インチのバイアス構造のタイヤ。 4プライ(カーカスコード4枚重ね)という当時の乗用車としては一般的な作りとなっている。

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