2022年に登場したクロスオーバーで大きくイメージが変わったクラウンシリーズに、セダンとハッチバックのスポーツが加わった。いずれもかつてない強烈な個性が与えられており、クラウンの新たな歴史を刻む、そう確信できるモデルに仕上がっていた。今回はクラウン スポーツに試乗した模様をお伝えする。(Motor Magazine 2024年2月号より)

クラウン史上初となるスポーツハッチバック

画像: ボディスタイルはSUVにもショートワゴンにも見えるが、全長は4720mmとけっして小さくはない。

ボディスタイルはSUVにもショートワゴンにも見えるが、全長は4720mmとけっして小さくはない。

クラウン スポーツは、新生クラウンのなかでもひときわ異彩を放っている。伸びやかなクロスオーバーやセダンに対し、スポーツは強烈な凝縮感があり、タイヤが四隅で踏ん張っているように見える。このデザインを実現するキーとなったリアフェンダーは、最新技術と生産サイドの協力があってこそ実現したものだという。

ハッチバックである点も特徴で、荷室容量も十分な広さが確保されている。またセダンとは逆に、外見から想像するよりもずっと車内が広いのは少々意外だった。クーペライクなフォルムゆえ後席を乗り降りする際には頭をかがめる必要はあるが、シルが低いので足の移動は苦にならない。

運転席に座ると、適度に高めのアイポイントがもたらす視界も心地よい。助手席側と運転席側でデザインと配色を大胆に変えたアシンメトリーな意匠のインテリアも印象的だ。ちなみにパワートレーンは、マルチパスウェイの考えに即して、少し遅れてプラグインハイブリッド(PHEV)も試乗会のあとに追加されたが、今回試乗したのはトヨタお得意のハイブリッド(HEV)だ。

クラウンスポーツの走りは想像以上に刺激的

画像: セダンよりもホイールベースは230mmも短く、最小回転半径は5.4m。そのため小回り、回頭性ともに良好だ。

セダンよりもホイールベースは230mmも短く、最小回転半径は5.4m。そのため小回り、回頭性ともに良好だ。

回したときのエンジン音に物足りなさ感じるのは否めないが、走りの実力は申し分ない。応答遅れも小さく、瞬発力もある。経済性にも優れ、1.8トンを超える車両重量ながら、21.3km/LのWLTCモード燃費を達成しているのもなかなかのものだ。

足まわりは「硬いだけがスポーツじゃない」と開発担当者が話していたとおり、サスペンションの摩擦の低減にこだわり、路面からの入力を巧くいなすように作り込んだという。引き締まっていながらもしなやかな仕上がりだ。

さらに、クロスオーバー同様の、後輪を操舵する「DRS」と左右の後輪のベクタリング機構を備えた4WDシステムを装備。短いホイールベースとオーバーハングによって、より俊敏な回頭性を実現しているのも特徴だ。

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