GLE、X7ともにディーゼルで実現した高速ツアラーの理想

GLEに搭載されるエンジンは、2L 直4DOHCディーゼルターボ。最高出力は269ps、最大トルクは550Nmで、これにISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)を9速ATの間に配することで、マイルドハイブリッドを構成する仕組み。駆動方式はもちろん4WDだ。

画像: GLE。3台中もっとも排気量の小さい、2L 直4DOHCターボをMHEV化。9速ATのシームレスなシフトフィールも好印象だった。これもまたISGによって得られたメリットのひとつと考えてよいだろう。

GLE。3台中もっとも排気量の小さい、2L 直4DOHCターボをMHEV化。9速ATのシームレスなシフトフィールも好印象だった。これもまたISGによって得られたメリットのひとつと考えてよいだろう。

モーターの最高出力、最大トルクはそれぞれ20ps、2300Nmとされるが、その効果を感じないほどにディーゼルエンジンはナチュラルに、そして常に力強く加速を続けていく。

高速道路の直進安定性や、微妙なステアリングホールやアクセルべダルの動きにも忠実に反応するレスポンス。ともかくこのGLE300dは高速道路上でもストレスとは無縁の1台だ。

画像: X7。ストレート6のディーゼルツインターボにMHEVをコンビ。組み合わされる8速ATから出力されたトルクは、もちろん4輪へと伝わる。

X7。ストレート6のディーゼルツインターボにMHEVをコンビ。組み合わされる8速ATから出力されたトルクは、もちろん4輪へと伝わる。

一方、X7 40dに搭載されるエンジンは、最高出力が340ps、最大トルクは700Nmを誇る3L直6DOHCディーゼルツインターボ。これに電気モーターを組み合わせ、システム全体の最高出力で352ps、最大トルクは720Nmを発揮するマイルドハイブリッドだ。

エンジンの回転は実にスムーズ。あえてマニュアルシフトで高速域まで引っ張ってみても、さらに、突き抜けるかのようなパワーフィールのおかげもあって、どのようなシチュエーションでも豪快な加速感を味わうことができる。エアサスペンションを使用するフットワークの味付けも、BMWらしくやはり見事なものだった。

カイエンが見せるのは、911と同じ地平か

最後の1台、カイエン Sクーペが搭載するのは474psの最高出力と600Nmの最大トルクを発揮する4L V8DOHCツインターボ。その数字が物語るように、アクセルペダルを踏み込んだ瞬間から、2265psの車重から想像する重量感を一切感じない強烈な加速フィールが全身を襲う。

画像: カイエンS。4L V8ユニットは電気モーターのアシストなしで600Nmを発生。ただし燃費的にはさすがに厳しく、WLTCモードで7.5-8.0km/Lとなる。

カイエンS。4L V8ユニットは電気モーターのアシストなしで600Nmを発生。ただし燃費的にはさすがに厳しく、WLTCモードで7.5-8.0km/Lとなる。

0→100km/h加速を4.7秒でこなし、最高速では273km/hを達成するというパフォーマンスデータは大げさではない。4輪には常に最善のトラクションが生み出され、シートポジションこそ高いものの、そこには明らかにポルシェが生み出すスポーツカーの世界があった。

ちなみに「クーペ」とネーミングされているだけのことはあり、カイエンSクーペは一瞬SUVとしての機能性よりも、むしろデザインコンシャスなプロダクトとして誕生したモデルなのかと思われがち。

だが、カイエンにはルーフラインがほぼ水平に引かれる基本モデルが存在するし、ここまで紹介してきたメルセデス・ベンツのGLEにもクーペが、そしてBMWのX7にはやや小柄ながらそのクーペモデルに相当するともいえるX6がラインナップされている。

つまりは、商品ポートフォリオとしては各社とも、その狙いは同じと考えられる。(文:山崎元裕/写真:永元秀和、佐藤正巳)

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