驚くべき復元率とともに現代風のアレンジも。ETCもオプションで
ABODA GARAGEが手掛けるメルセデス・ベンツSLシリーズは、オリジナルに対して90%の復元率を誇ります。スチールやアルミ製主要部品の多くは、丁寧にレストアされたオリジナルパーツに交換、テキスタイルやプラスティックパーツはすべて、新しい素材に交換されます。
直されているのではなく、作られている、と思えるのはそういう意味あいもあって、のこと。想像するだにその製作風景は手作業ではあるものの、ほぼほぼ新車を作る工程と変わりないようなイメージがあります。
製作を担当しているのは、ABODA GARAGEが関連するドイツの「パートナー企業」です。日本向けは初年度で10台の割り当てですが、グローバルでは相当数のオーダーに対応しているとのこと。つまり、かなりの数のマンパワー、それも熟練した職人たちを擁する事業体なのだと想像できます。
加えてこの車両の場合は、MADE IN GERMANYの職人技でレストアされているだけでなく、現代の交通環境に合わせた、さまざまなキャリブレーションが施されているのが特徴です。ABODA GARAGEがこのクルマたちを「レストモッド」(レストア×モディファイの略)と呼ぶのは、そういう背景があるためでしょう。
たとえばオーディオ。オリジナルと同じラジオチューナー(190SLの場合。280SLではカセットプレーヤーがついてます)が装備されていますが、実働しません。実際には、目に見えない場所に取り付けられたBluetoothオーディオを介して、スマホなどのコンテンツを聴くことができるそうです。
メカニカルなオプションメニューとしては、「イージーパワーステアリング」(後付けの電動パワーステアリング)やフロントディスクブレーキを用意。毎日乗っても、筋肉痛にならなくて済みそうです。ちなみに280SLでは、エンジンのグレードアップも受付けてくれます。
エキストラオプションとして、ETC車載器がついているのも今どき。ほかに助手席側サイドミラーやセンターアームレストなど、日常遣いに「あるとうれしい」装備を設定しています。まさに至れり尽くせり。
そうした現代的な機能装備が、オリジナルのたたずまいを一切損なわずに装着されていることにも驚かされます。もちろん、実装にはさまざまな試行錯があったそう。たとえばETCのアンテナは、インパネ上部中央にある灰皿の中身を外して、そのスペースに設置されています。ふたを開けようとしなければ、バレません。
安全要件に関しても、しっかり対応しています。190SLは2点式、280SLは3点式のシートベルトが追加装備されていました。タイヤも、クラシカルなホワイトレタータイヤ(190SLはMAXXIS製、280SLはミシュラン製)ですが、コンパウンドなどは最新の技術で作られているのだそうです。
どうです? ますます「毎日、乗りまわしたくなる」でしょう?