続いて大本命(?)のエクストレイル e-4ORCEに試乗
続いて試乗したのは、エクストレイル e-4ORCEです。グレードは、オーテックによって内外装が専用に仕立てられた仕様で、20インチアルミホイールを装着したスポーティなモデルです。
数ある国産SUVの中でもエクストレイルは日産を代表するロングセラー商品ということもあり、その走りには期待が高まるばかりです。
2022年にデビューした現行エクストレイルのパワートレーンは非常に凝っているもので、1.5L直3ターボエンジンという小さいユニットながら、VCターボと呼ばれる圧縮比を変化させることのできる高効率エンジンを国内の日産車で唯一採用しています。
ただし、エクストレイルも前述のとおり「電動車」のため、この日産自慢のエンジンはあくまでバッテリーへの発電に徹しており、駆動はモーターによって行われます。
試乗を始めてすぐに、当然ながらキックスとの車格の違いを明確に感じました。
いわゆる高級車然としたゆったり感ある乗り心地、エンジンの静粛性の高さなど、キックスも良いクルマだと思ったけれどやはりデキが全然違う! と思わせられます。これでエクストレイルでは最大となる20インチの大径ホイールを履いている、というから驚きです。
さて肝心のe-4ORCEの仕上がりですが、これがビックリ。ワインディング路でカーブが連続する場面において、1.8トン超えの重量級ボディを軽々と動かしてくれるのです。「ひらひら」という表現が相応しいような印象です。
それでいて、車体の姿勢は極めてフラットでまるでミズスマシのように走ってくれます。これはひとえに、e-4ORCEによるレスポンスに優れた制御がこうした動きを実現してくれていると感じました。
さらにエクストレイルで路面に雪の残った「悪路」を走りました。ここでドライブモードを「スノー」に切り替えます。すると「グッ、グッ」と路面を捉えながら、着実に前進してくれました。
このスノーモードですが、前後の駆動力配分を最適化するだけでなく加速力までコントロールしてくれる優れもので、e-4ORCEの頼もしい走りをより実感することができました。
正常路の凹凸を乗り越えたときに生じるショックを時より正直に乗員に伝えてくることは玉に瑕ですが、このウエット路面や雪道・砂利道などでの「安心感」ある走行性能はとても魅力に感じました。
試乗車はオーテック仕様の中でも最上級グレードだったこともあり、車両価格は532万9500円と決して安くはありません。が、エクストレイル e-4ORCEは375万9800円から用意されていますので、キックスとの価格差は50万円ほどになります。個人的には価格差以上の価値が十分に備わっていると感じました。