G3と呼ばれる3世代目のポルシェパナメーラの国際試乗会に参加した。市街地、高速道路、ワインディングロード、サーキットといったさまざまな場面で試乗して、最新は最良のポルシェに相応しい高いパフォーマンスが確認できた。ここではMotorMagazine2024年5月号のテキストはそのままに、未掲載画像を使って再構成する。本誌とはまた異なる世界観を、楽しんでもらえれば幸いだ。(文:千葉知充/写真:ポルシェAG)

加減速時、コーナリングで姿勢変化を抑制するエアサスペンション

運転席に座るとそこに広がるのはポルシェらしいすっきりとした視界だ。インテリアは、ギアセレクターの位置が移動しディスプレイに機能を集約した最新のポルシェのそれだ。ドライバー用、中央の他に助手席用ディスプレイもオプションで用意されている。

画像: セレクターレバーは小型化されステアリングホイールのすぐ横に配置したことでセンターコンソールまわりはすっきりとなり収納などを用意できた。助手席用ディスプレイはオプション。

セレクターレバーは小型化されステアリングホイールのすぐ横に配置したことでセンターコンソールまわりはすっきりとなり収納などを用意できた。助手席用ディスプレイはオプション。

走り出して最初に驚いたのは、コンフォートな乗り心地だ。相当な作り込みレベルの高さが感じられた。ワインディング路をフラットな姿勢で駆け抜ける走行フィール、荒れた路面でも振動を伝えない快適性など、もうこのクラスのベストモデルだと言っていい。

これには標準装備されるポルシェアクティブサスペンションマネジメント(PASM)を含むアダプティブ2バルブエアサスペンションの効果が大きい。

これには2バルブダンパーが装備されるが、これは圧縮側とリバウンド側をそれぞれ分離しスポーティな走りと快適な乗り心地という二面性を両立させている。

画像: ポルシェアクティブライドサスペンションによって、凹凸路などでは衝撃を足まわりで上手く吸収、路面にぴったりと貼りつくようなダイレクトなドライビングエクスペリエンスを実現している。さらに、すべての走行モードでピッチングとローリングを自動的に抑制する機能を追加。ボディは常に水平に保たれる。

ポルシェアクティブライドサスペンションによって、凹凸路などでは衝撃を足まわりで上手く吸収、路面にぴったりと貼りつくようなダイレクトなドライビングエクスペリエンスを実現している。さらに、すべての走行モードでピッチングとローリングを自動的に抑制する機能を追加。ボディは常に水平に保たれる。

ところで今回は、このエアサスペンションの動きがよくわかるデモも行われた。特別に製作されたピッチングとローリングの動きに合わせて動くパナメーラと凹凸路を50km/hで走りながらも嫌な突き上げを伝えてこないという体験だ。

パナメーラは、5m超の全長と2m近い全幅の大柄なボディが狭い場所では気を遣う。ただそれで小回りが効かないかというとそれは試乗前の勝手な先入観で、オールホイールステアリングの効果もあり、扱いにくさを感じなかった。

コーナーではオートバイのように内側に傾き加速時はフロントが下がり、減速時にはリアが下がる。

911ターボに匹敵するフラッグシップの高性能ぶり

ターボE−ハイブリッド試乗は、モンテブランコサーキットが用意された。ここは全長約3920m、急勾配を駆け上がる先が見えないコーナーを含む15のコーナーがあり、ストレートの長さは約1kmだ。

画像: これまでの3チャンバーを改良し、より軽量な2バルブダンパーを備えた2チャンバーエアサスペンションを標準装備。アクティブライドサスペンションもオプションで用意する。

これまでの3チャンバーを改良し、より軽量な2バルブダンパーを備えた2チャンバーエアサスペンションを標準装備。アクティブライドサスペンションもオプションで用意する。

本格的なサーキットでの試乗はポルシェの恒例だが、先導車は911ターボなので、走行ペースはとても速い。しかしそんな状況でもパナメーラのフラッグシップは音を上げることがなく、そして苦もなく追従することができる。

ここではスポーツカーとしての顔が全面に出てくる。実にダイナミックな走り味だ。コーナリングはフラットな姿勢のままスムーズにクリアでき安定感と安心感が強い。これには、ターボE−ハイブリッドにオプション設定されるポルシェアクティブライドが大きく貢献している。PHEVを選ぶなら、これはぜひ装着したい。それだけ効果は絶大なのである。

ドライブモードは、ノーマル、スポーツ、スポーツプラスが用意されているが、公道はコンフォート、ワインディングロードではスポーツ、そしてサーキットではスポーツプラスを選択して走った。

すると一般道ではとても快適なラグジュアリーサルーン、サーキットでは911顔負けのスポーツカーというふたつの顔をパナメーラは見せてくれた。ポルシェの最新技術が惜しみなく使われた新型パナメーラ。「最新が最良のポルシェ」はここでもまた実証された。

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