加減速時、コーナリングで姿勢変化を抑制するエアサスペンション
運転席に座るとそこに広がるのはポルシェらしいすっきりとした視界だ。インテリアは、ギアセレクターの位置が移動しディスプレイに機能を集約した最新のポルシェのそれだ。ドライバー用、中央の他に助手席用ディスプレイもオプションで用意されている。
走り出して最初に驚いたのは、コンフォートな乗り心地だ。相当な作り込みレベルの高さが感じられた。ワインディング路をフラットな姿勢で駆け抜ける走行フィール、荒れた路面でも振動を伝えない快適性など、もうこのクラスのベストモデルだと言っていい。
これには標準装備されるポルシェアクティブサスペンションマネジメント(PASM)を含むアダプティブ2バルブエアサスペンションの効果が大きい。
これには2バルブダンパーが装備されるが、これは圧縮側とリバウンド側をそれぞれ分離しスポーティな走りと快適な乗り心地という二面性を両立させている。
ところで今回は、このエアサスペンションの動きがよくわかるデモも行われた。特別に製作されたピッチングとローリングの動きに合わせて動くパナメーラと凹凸路を50km/hで走りながらも嫌な突き上げを伝えてこないという体験だ。
パナメーラは、5m超の全長と2m近い全幅の大柄なボディが狭い場所では気を遣う。ただそれで小回りが効かないかというとそれは試乗前の勝手な先入観で、オールホイールステアリングの効果もあり、扱いにくさを感じなかった。
コーナーではオートバイのように内側に傾き加速時はフロントが下がり、減速時にはリアが下がる。
911ターボに匹敵するフラッグシップの高性能ぶり
ターボE−ハイブリッド試乗は、モンテブランコサーキットが用意された。ここは全長約3920m、急勾配を駆け上がる先が見えないコーナーを含む15のコーナーがあり、ストレートの長さは約1kmだ。
本格的なサーキットでの試乗はポルシェの恒例だが、先導車は911ターボなので、走行ペースはとても速い。しかしそんな状況でもパナメーラのフラッグシップは音を上げることがなく、そして苦もなく追従することができる。
ここではスポーツカーとしての顔が全面に出てくる。実にダイナミックな走り味だ。コーナリングはフラットな姿勢のままスムーズにクリアでき安定感と安心感が強い。これには、ターボE−ハイブリッドにオプション設定されるポルシェアクティブライドが大きく貢献している。PHEVを選ぶなら、これはぜひ装着したい。それだけ効果は絶大なのである。
ドライブモードは、ノーマル、スポーツ、スポーツプラスが用意されているが、公道はコンフォート、ワインディングロードではスポーツ、そしてサーキットではスポーツプラスを選択して走った。
すると一般道ではとても快適なラグジュアリーサルーン、サーキットでは911顔負けのスポーツカーというふたつの顔をパナメーラは見せてくれた。ポルシェの最新技術が惜しみなく使われた新型パナメーラ。「最新が最良のポルシェ」はここでもまた実証された。