「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、アウディ S6/S7だ。

見た目はおとなしいが、スロットルを踏み込むと・・・

画像: S6にはワゴンのS6アバントも設定。車重はセダンより40kg重いとはいえ、V8ツインターボのパワーは十分以上。

S6にはワゴンのS6アバントも設定。車重はセダンより40kg重いとはいえ、V8ツインターボのパワーは十分以上。

ところが、ミュンヘンから郊外に向かうアウトバーンにのって車速を上げ始めた途端、S6は大人の仮面を脱ぎ捨てた。床までスロットルを踏みこむと、待っていたかのようにすべてのシリンダーが目を覚ます。車速の高まりとともにエキゾーストノートが高鳴り、圧倒的なトルクを発揮して加速する。

ただし、従来型のS6が轟かせたワイルドな咆哮とは異なり、V8エンジンが奏でる力強いハーモニーとともに滑らかに、リミッターの作動する250km/hまで加速していく。この走りの印象は、セダンのS6はもちろん、ワゴンのS6アバントや5ドアクーペのS7スポーツバックでも、変わることはなかった。

しかも、静粛性に関しては先代までとは比べ物にならないい。V8のうち4気筒を休止すると、本来はガタガタ・ブルブルと振動が出てたまらないはずなのだが・・・。じつは、アクティブノイズコントロールやアクティブエンジンマウントといったノイズや振動を軽減する装置を満載し、あくまで「大人のスポーツサルーン」としての性格を貫いているのだ。

その背景には、世界中に広がる環境志向がある。今回、「オート/コンフォート/ダイナミック」に加えて、「エフィシェンシー」なるモードが加わったのも、そうした影響だろう。アウディはスポーティネスを追求しながらも、環境性能の面でもリードしてインテリジェンスを感じさせる存在であろうとしている。そうした変化は、Sモデルが単なるスポーツではなく、アウディのトップカテゴリーだと思えば、十分に理解できるのだった。

画像: こちらは5ドア クーペのS7スポーツバック。パワースペックはS6と同じで、走りの印象も基本的に変わらない。

こちらは5ドア クーペのS7スポーツバック。パワースペックはS6と同じで、走りの印象も基本的に変わらない。

アウディ S6 4.0TFSIクワトロ(日本仕様) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4930×1875×1445mm
●ホイールベース:2910mm
●車両重量:2020kg
●エンジン:V8 DOHCターボ
●総排気量:3992cc
●最高出力:309kW(420ps)/5500ー6400rpm
●最大トルク:550Nm(56.1㎏m)/1400-5200rpm
●トランスミッション:7速AT
●駆動方式:フロント縦置き4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・75L
●JC08モード燃費:9.6km/L
●タイヤサイズ:255/35R20
●当時の車両価格(税込):1180万円

This article is a sponsored article by
''.