「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、BMW 6シリーズ グランクーペだ。

いざとなれば3人座れるリアシートは大いにありだろう

画像: その走りっぷりはスポーツカーと彷彿とさせる。後輪操舵も備えているのでハンドリングはきわめて俊敏だ。

その走りっぷりはスポーツカーと彷彿とさせる。後輪操舵も備えているのでハンドリングはきわめて俊敏だ。

リアシートのニースペースはとても広く、シート自体のサイズも大きめ。頭上も上手にえぐってクリアランスを稼いでいる。コンソールで左右が仕切られているため、シート中央に座るとオートバイのタンデムのような格好になるのだが、どうせ使う機会など限られるのだから、これは大いにありだと思う。サンルーフはスライディングできずチルトのみ可能だが、ガラス面積が非常に広く、絶大な開放感を味わえる。

その走りはスポーツカーを凌駕するほど。後輪操舵も行うハンドリングは極めて俊敏で、かつ安定している。ドライブモードを変えると乗り味がハッキリと変わるが、どれを選んでも乗り心地が損なわれないところが素晴らしい。同車は6シリーズの一員だが、チューニングの方向性は、後席の乗員に配慮した5シリーズセダンとの共通性を感じる。

今回試乗したのは、3Lの直6ツインスクロールターボエンジンを搭載する640iで、その完成度も素晴らしい。同型式のエンジンが与えられた535iに対し若干パワースペックが向上しているのだが、実際にもかなり速い。今や貴重になったストレート6のサウンドと吹け上がりは、やはりいいものだとあらためて実感した。

スタイリッシュでエレガントかつスポーティ。BMW 6シリーズ グランクーペの車両価格は高いけれど、その代わり得られるものが大きな1台だ。

画像: 試乗車のエンジンは、3Lの直6ツインスクロールターボ。上級グレードには、4.4LのV8ツインターボを搭載する650iもある。

試乗車のエンジンは、3Lの直6ツインスクロールターボ。上級グレードには、4.4LのV8ツインターボを搭載する650iもある。

BMW 640i グランクーペ 主要諸元

●全長×全幅×全高:5010×1895×1390mm
●ホイールベース:2970mm
●車両重量:1860kg
●エンジン:直6 DOHCターボ
●総排気量:2979cc
●最高出力:235kW(320ps)/5800rpm
●最大トルク:450Nm(45.9㎏m)/1300-4500rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・75L
●JC08モード燃費:12.4km/L
●タイヤサイズ:245/45R18
●当時の車両価格(税込):986万円

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