2024年5月24日から始まった「ENEOS スーパー耐久シリーズ2024 富士SUPER TEC24時間レース」では、カーボンニュートラル技術の研究・開発に取り組む「ST-Qクラス」のマシンたちに注目が集まっています。今年は中でも、走れば走るほど空気がきれいになる・・・そんな夢のような内燃機関搭載車への期待値が、さらに高まってきました。

燃料だけではなく、トータルでのカーボンニュートラルを目指すマツダ

マツダ スピリットレーシングは、富士戦としては初めて2台体制で臨みます。次世代バイオディーゼル燃料を使う「#55 MAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio concept」と、CNFで走る「#12 MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER CNF concept」ですが、2台が持つ意味合いは、少し異なっているそうです。

画像: マツダ スピリットレーシングの参戦マシン2台。ベース技術の研究開発を目的とする55号車の場合、シャシー領域では、廃タイヤ由来の再生カーボン材を使ったサスペンションブッシュを採用。引張強度が980Mpa級の超ハイテン材を使うことで、従来比-23%の軽量化と約2倍の高剛性を達成したロアアームなど、製法まで含めた新しい挑戦がふんだんに盛り込まれている。

マツダ スピリットレーシングの参戦マシン2台。ベース技術の研究開発を目的とする55号車の場合、シャシー領域では、廃タイヤ由来の再生カーボン材を使ったサスペンションブッシュを採用。引張強度が980Mpa級の超ハイテン材を使うことで、従来比-23%の軽量化と約2倍の高剛性を達成したロアアームなど、製法まで含めた新しい挑戦がふんだんに盛り込まれている。

とくにマツダ3は、根幹となる技術開発とエンジニア育成が目的とされています。ハイパフォーマンスなエンジンを搭載することでエコ力だけでなく「速さ」も追求しましてきましたが、今年はさらに燃料という視点だけでなく、クルマを通じたあらゆる技術でカーボンニュートラル化に貢献することを目指しています。

具体的な取り組みのひとつが、排ガスからCO2を回収するスキームの実現です。その手法としては、排気系内部にCO2吸着材を配置し、タンク内に貯蔵するシステム構築を考えているそうです。

現状、マツダはHVO(廃食油由来のディーゼル代替燃料)によって実質90%のCO2削減を可能にしました。新しいCO2回収技術ではさらに20%のCO2を回収するので、トータルではおよそ10%分のカーボンネガティブが達成される計算になります。。

画像: ターボの可変容量機構やエグゾーストマニホールドの素材にガソリンエンジン向けのパーツを用いることによって信頼性を向上。排気抵抗低減ととともに軽量化、車両重量配分を改善する新しいコンバータASSYなど細部にわたる改良によって、予選タイムは昨年比でおよそ2~3秒も短縮することができたという。

ターボの可変容量機構やエグゾーストマニホールドの素材にガソリンエンジン向けのパーツを用いることによって信頼性を向上。排気抵抗低減ととともに軽量化、車両重量配分を改善する新しいコンバータASSYなど細部にわたる改良によって、予選タイムは昨年比でおよそ2~3秒も短縮することができたという。

画像: 耐熱性を向上させたハイパー中空バルブによるノッキング防止が、CO2低減を実現、同時に軽量化による機械損失低減にもつながっている。

耐熱性を向上させたハイパー中空バルブによるノッキング防止が、CO2低減を実現、同時に軽量化による機械損失低減にもつながっている。

マツダでは、バイオ燃料の量産拡大についても原料段階からの研究を進めています。とくに原料として量産性に限界がありそうな廃食油に代わって、生産効率が高い微細藻類に着目、流通量の拡大が見込めるそうです。

どちらもさらなるCN化に向けて走り始めた技術であり今後、システム、実装形態、運用の方法などさまざまな検証が必要になります。けれどマツダというメーカーが、「走る実験室」に導入を図る以上は、将来的に量産車まで織り込まれることを大いに期待してよさそうです。

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