主役のメル・ギブソンや、ド派手な改造車で人気を集めたアクション映画『マッドマックス』シリーズの最新作が間もなく上映開始される。その内容を、映画評論家の永田よしのり氏に紹介してもらおう。(Ⓒ 2024 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved. IMAX® is a registered trademark of IMAX Corporation. Dolby Cinema is a registered trademark of Dolby Laboratories.)
最新作の前に、シリーズをおさらいしておこう
『マッドマックス』といえば、主役は無骨な男、メル・ギブソン。そのイメージは1979年から1985年まで続いた3作目までのこと。最新作で主役を張るのは、女性キャラクターのフュリオサ。荒廃した苛酷で理不尽な世界で、生き残るために未来だけを見続ける姿は、観る者の心を震わせること間違いなしだ。
その記念すべきシリーズ第1作は、1979年の公開。そもそも1作目の『マッドマックス』は、タイトルどおりマックスという名前の警察官の物語だった。暴走族の凶悪事件が頻発するオーストラリアを舞台に、妻子を奪われた警察官 マックスの復讐劇が展開するもの。
その後、2作目では世界大戦により荒廃した世界で、枯渇した石油を巡り元暴走族の凶悪集団と戦うという路線に。その世界観が現在も続いているというわけだ。ちなみに本シリーズで世界的スターになった主演のメル・ギブソンは、3作目の『マッドマックス/サンダードーム』まで主演しているが、前作『マッドマックス怒りのデスロード』(2015年)からは、マックス役をトム・ハーディにバトンタッチしている。
『マッドマックス』の世界観が、現在続くフォーマットに置換されたのは、第2作目からのこと。その世界観が大ヒットマンガ『北斗の拳』に酷似していたことから、当時は「どちらが先か」と論議されたことも。実は『マッドマックス2』の世界観に、ブルース・リーのような拳法の達人が登場するアイディアを思いついた、と後に『北斗の拳』の作家が後述している(『マッドマックス2』の日本公開は1981年12月26日、マンガ『北斗の拳』の連載開始日は『少年ジャンプ」1983年第41号から)。