この連載では、昭和30年~55年(1955年〜1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第68回目は、27レビン/トレノの愛称で当時の走り屋に絶大な人気を誇った、トヨタ カローラ・レビン/スプリンター・トレノ1600の登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より)

レビンと合わせてトレノも登場!
フェイスリフトでよりスポーティ感を高める

レビン/トレノのもうひとつの特徴は、軽量かつコンパクトなボディである。レビンは855kg、トレノは865kgと、同じエンジンを搭載するセリカと比べて100kgも軽い。パワーウエイトレシオは、7.43kg/psになるが、これは当時としては画期的な数値である。

画像: 写真はTE27型スプリンター・トレノ。AE86まで続くFRのレビン/トレノの系譜はここに始まる。トレノの方が凝ったデザインか。撮影車のホイールは非オリジナル。

写真はTE27型スプリンター・トレノ。AE86まで続くFRのレビン/トレノの系譜はここに始まる。トレノの方が凝ったデザインか。撮影車のホイールは非オリジナル。

この数値は当時、スポーツカーの代名詞ともなっていたポルシェ 911(1080kg/130ps)の8.08kg /psを上回っていたと言えばその凄さが伝わるだろう。

トランスミッションは1400SRのものと同じだが、 DOHCパワーを効率良く引き出すために、ファイナルギアを4.300とした。さらにオプションでリアの駆動輪のトラクションを逃さない機構であるリミテッドスリップデフ(LSD)も用意されている。最高速は190km/h、0→400m加速は16.3秒の俊足を誇った。

サスペンション形式は、他のカローラと基本的に同じである。フロントはマクファーソンストラット/コイル、リアはリーフスプリングによるリジッドアクスルという組み合わせだ。しかし、ダンパーやスプリングは基準車より格段に締め上げられ、ハードなセッティングとなっている。

この前後サスペンションの組み合わせはとくに目立った機構ではないものの、その信頼性と耐久性の高さには定評があった。

画像: 6連メーターと3本スポークの本革巻きステアリングを採用した。そしてエアホール入りの本格的なバケットシート、フットレストも標準装備したスパルタン&スポーティなコクピットの仕様だ。

6連メーターと3本スポークの本革巻きステアリングを採用した。そしてエアホール入りの本格的なバケットシート、フットレストも標準装備したスパルタン&スポーティなコクピットの仕様だ。

インテリアもスパルタンムード一色のレイアウトだ。タコメーターとスピードメーターを中心にした凄みのある6連メーターや本革巻きのスポーツステアリング、バケットタイプのフロントシート、フットレストなどを標準装備する。快適性よりも走りを満足させるためのインテリアと言えるだろう。

レビン/トレノは発売から5カ月後に早くもフェイスリフトを受け、一段と逞しく生まれかわる。フロントグリルは立体的な造形となり、リアコンビネーションランプも、より端正で視認性の良いデザインに改められた。

いずれにしてもこの2車がデビューしたときの衝撃は筆舌に尽くしがたい。すでに高性能モデルは存在したが、これほど安価に、高いポテンシャルを発揮するクルマはなかった。セリカと比べて乗り心地やノイズなど粗さが目立ったが、走り屋にとってはそれが逆に大きな魅力となった。

画像: レビンは、オレンジが純正色で用意されていたのも印象的。丸みを帯びたボディによく似合っていた。また、米国で「マンゴー」という愛称が付いたのもこの辺が由来だろう。

レビンは、オレンジが純正色で用意されていたのも印象的。丸みを帯びたボディによく似合っていた。また、米国で「マンゴー」という愛称が付いたのもこの辺が由来だろう。

軽量であることは大きなメリットで鋭い加速が持ち味でもあった。このジャジャ馬を乗りこなすことを歓びとする者が、レースやラリーで豪快な走りを披露してくれたものだった。

EPISODE

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レビン/トレノには1.6L直4DOHC搭載車を設定することにより、DOHCエンジンの大量生産効果を得ようとの狙いもあった。果たして昭和47年3月に追加されたTE27型は81万3000円の低価格が人気を呼び、爆発的な 売れ行きとなる。ちなみに2T-G型DOHCは4A-Gに代わるまで、13年間で30万機近くが製造されるヒット作となった。

STANDARD

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レビンのベースとなったのはTE20系の2代目カローラ。言わずとしれたトヨタのファミリーカーのトップを走るクルマだ。昭和45(1970)年登場時には1.4L直4OHVのT型エンジン(86ps)を搭載。翌年にはツインキャブで5速フロアとした1400SL、1400SRが登場した。そしてレビンが登場するのはその翌年の昭和47(1972)年ということになる。

トヨタ カローラ・レビン1600(TE27型)諸元

●全長×全幅×全高:3945×1595×1335mm
●ホイールベース:2335mm
●車両重量:855kg
●エンジン型式・種類:2T-G型・直4DOHC
●排気量:1588cc
●最高出力:115ps/6400rpm
●最大トルク:14.5kgm/5200rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:175/70HR13
●新車価格:81万3000円

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