レビンと合わせてトレノも登場!
フェイスリフトでよりスポーティ感を高める
レビン/トレノのもうひとつの特徴は、軽量かつコンパクトなボディである。レビンは855kg、トレノは865kgと、同じエンジンを搭載するセリカと比べて100kgも軽い。パワーウエイトレシオは、7.43kg/psになるが、これは当時としては画期的な数値である。
この数値は当時、スポーツカーの代名詞ともなっていたポルシェ 911(1080kg/130ps)の8.08kg /psを上回っていたと言えばその凄さが伝わるだろう。
トランスミッションは1400SRのものと同じだが、 DOHCパワーを効率良く引き出すために、ファイナルギアを4.300とした。さらにオプションでリアの駆動輪のトラクションを逃さない機構であるリミテッドスリップデフ(LSD)も用意されている。最高速は190km/h、0→400m加速は16.3秒の俊足を誇った。
サスペンション形式は、他のカローラと基本的に同じである。フロントはマクファーソンストラット/コイル、リアはリーフスプリングによるリジッドアクスルという組み合わせだ。しかし、ダンパーやスプリングは基準車より格段に締め上げられ、ハードなセッティングとなっている。
この前後サスペンションの組み合わせはとくに目立った機構ではないものの、その信頼性と耐久性の高さには定評があった。
インテリアもスパルタンムード一色のレイアウトだ。タコメーターとスピードメーターを中心にした凄みのある6連メーターや本革巻きのスポーツステアリング、バケットタイプのフロントシート、フットレストなどを標準装備する。快適性よりも走りを満足させるためのインテリアと言えるだろう。
レビン/トレノは発売から5カ月後に早くもフェイスリフトを受け、一段と逞しく生まれかわる。フロントグリルは立体的な造形となり、リアコンビネーションランプも、より端正で視認性の良いデザインに改められた。
いずれにしてもこの2車がデビューしたときの衝撃は筆舌に尽くしがたい。すでに高性能モデルは存在したが、これほど安価に、高いポテンシャルを発揮するクルマはなかった。セリカと比べて乗り心地やノイズなど粗さが目立ったが、走り屋にとってはそれが逆に大きな魅力となった。
軽量であることは大きなメリットで鋭い加速が持ち味でもあった。このジャジャ馬を乗りこなすことを歓びとする者が、レースやラリーで豪快な走りを披露してくれたものだった。
EPISODE
レビン/トレノには1.6L直4DOHC搭載車を設定することにより、DOHCエンジンの大量生産効果を得ようとの狙いもあった。果たして昭和47年3月に追加されたTE27型は81万3000円の低価格が人気を呼び、爆発的な 売れ行きとなる。ちなみに2T-G型DOHCは4A-Gに代わるまで、13年間で30万機近くが製造されるヒット作となった。
STANDARD
レビンのベースとなったのはTE20系の2代目カローラ。言わずとしれたトヨタのファミリーカーのトップを走るクルマだ。昭和45(1970)年登場時には1.4L直4OHVのT型エンジン(86ps)を搭載。翌年にはツインキャブで5速フロアとした1400SL、1400SRが登場した。そしてレビンが登場するのはその翌年の昭和47(1972)年ということになる。
トヨタ カローラ・レビン1600(TE27型)諸元
●全長×全幅×全高:3945×1595×1335mm
●ホイールベース:2335mm
●車両重量:855kg
●エンジン型式・種類:2T-G型・直4DOHC
●排気量:1588cc
●最高出力:115ps/6400rpm
●最大トルク:14.5kgm/5200rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:175/70HR13
●新車価格:81万3000円